2007年07月04日 |
汎用樹脂の輸出、対中依存率の低下が続く |
5月も5品目全てが前年を大きく下回る |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計) 【関連企業・団体】:なし |
汎用樹脂の5月の輸出通関数量は5品目とも軒並み前年同月を大きく上回った。伸び率が最も小さいPSでも16.6%増であり、HDPEに至っては33.3%もの伸びを遂げている。 ただし、全輸出量の過半を占める中国向け(香港向けを含む)の伸び率は5品目全てが全体の伸び率を下回っている。このため全輸出量に占める中国向けの構成比率は5品目とも前年同月を大きく下回っており、今年2月以降に徐々に顕在化してきた中国への依存度の低下に一段と加速がつくかたちとなっている。 汎用5樹脂の5月の輸出通関総数量に占める中国向けの比率は、LDPEが50.0%、HDPEが53.6%、PPのホモポリマーとコポリマーの合計が61.0%、PSが62.0%、PVCが67.2%となっている。前年同月に比べるとLDPEは11.3ポイント、HDPEは10.7ポイント、PPは0.3ポイント、PSは8.3ポイント、PVCは10.7ポイントそれぞれ下がっている。また、今年1月に対比してもLDPEは12.0ポイント、HDPEは4.3ポイント、PPは4.6ポイント、PSは14.1ポイント、PVCは2.7ポイントの低下となる。 こうした現象をもたらしている要因については、「インドや中近東、さらにはアフリカ諸国といったこれまであまり取引量が多くなかった国々からの引き合いが中国以上に活発になってきたことが大きい」(門田豊・大洋塩ビ取締役)と解説する向きが多い。これには、日本各社の製品の品質が他の多くの国々の製品以上に高く評価されていることが少なからず寄与しているようだ。 汎用樹脂メーカーの多くは、今後も高品質を武器に新たな海外市場の開拓に力を入れていく構え。収支バランスを考慮すると中国に対する過剰な依存は避けるべきとの考えが広がってきているわけで、樹脂業界はいま輸出戦略の転換期を迎えていると見ることができる。 汎用5樹脂の5月の輸出通関数量と中国向けの実績は別表の通り。 【関連ファイル】 汎用樹脂の5月の輸出通関数量と中国向け実績 https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1183528295.xls |