2007年07月24日
LDPEの国内の需要動向に変化
HP-LDPEが盛り返し、L-Lは伸び悩み
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 LDPE(低密度ポリエチレン)の国内の需要動向に微妙な変化が生じてきた。L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の台頭によって長期低迷状態に陥っていたHP-LDPE(高圧法低密度ポリエチレン)がここにきて急速に盛り返し、それに反してL-LDPEは完全な横ばい状態になっている。

 国内需要の動きに変化が現われてきたのは今年2月からで、それまではL-LDPEが安定した伸びを遂げ、それに対してHP-LDPEがそのあおりを食うかたちでわずかながらもマイナス成長となる年が多かった。これには、もともとHP-LDPEの最大の市場であった一般フィルム分野の需要の多くを後発のL-LDPEが侵食してきたことが大きく影響してきたといえる。
 
 ところが今年2月以降はHP-LDPEが4ヵ月にわたって前年超えを続け、一方のL-LDPEは前年同月超えと前年同月割れを交互に繰り返す変則事態に陥っている。その結果、今年上期(1〜6月)の両樹脂の国内総出荷数量はHP-LDPEが395,770トン、L-LDPEが398,625トンとなってL-LDPEがHP-LDPEをわずか2,855トン(0.7%)ながら上回ったものの、対前年同期比はHP-LDPEが1.9%増となったのに対してL-LDPEが0.2%増にとどまるかたちとなった。

 過去2ヵ月の対前年同月比は、5月がHP-LDPE6.3%増、L-LDPE1.5%減、また6月はHP-LDPE4.7%増、L-LDPE0.4%増となっている。これに伴い、LDPE全体に占めるL-LDPEの比率(L-L化率)は低下傾向が顕著になってきている。4月時点では50.7%でなんとか50%台を維持していたが、5月は49.3%へと逆転、6月も49.1%にとどまっている。
 
 こうした逆転現象をもたらしている最大の要因は、両樹脂の最大消費品種である一般フィルム用品種の出荷の増減の違いにある。今年上期のL-LDPEの一般フィルム用品種の総出荷数量は245,142トンで、HP-LDPEの126,481トンを大きく上回っている。しかし、対前年同期比はL-LDPEが0.7%減であり、対するHP-LDPEは1.7%増となっている。

 L-LDPEが3ヵ月連続の前年同月割れであるのに対してHP-LDPEは4ヵ月にわたって前年同月超えを続けている。マスキング用フィルムなど機能性を売るものにした品種の開発が大きな違いになって現われていると指摘する関係者が多い。世界全体でも、最近はHP-LDPEの機能品種が再評価される傾向にあるだけに今後の双方の新市場獲得競争の行方が注目される。