2001年12月04日
東芝と新日鉄化学、共同でプラリサイクル技術を開発
使用済みテレビの筐体のプラスチックを再利用
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:東芝

 東芝と新日鉄化学の両社は4日、使用済みテレビのプラスチックをリサイクル(マテリアルリサイクル)する技術を共同で開発したと発表した。使用済みプラスチックをバージンレジンと同等の成形性、物性、外観などを持つ材料に経済的に再生できる点がこの技術の大きな特徴という。
 
 これによって、使用済みテレビのプラスチックを再びテレビに戻すいわゆるクローズド・マテリアルリサイクルのループを構築でき、廃棄物の排出量の大幅な削減が可能になるという。使用済みテレビのプラスチックを再びテレビに利用するリサイクル技術の確立はわが国ではこれが初めて。
 使用済みテレビの筐体を構成するプラスチック(主として難燃性ポリスチレン)は、ほこりやラベルなどの異物が付着しており、また、塗装も施されているためバージンレジンと同等の品質と性能を持つ材料への再生は極めて困難とされてきた。今回両社が共同開発した技術は、異物や塗装を除去する歩留まりの高い乾式洗浄技術と、再生樹脂の成分を適正に調整する高度なコンパウンド技術との融合によるもの。この実用化によって、製品重量比で55%以上と国で定められているテレビのリサイクル率をさらに引き上げることが可能になると両社では説明している。
 
 両社では、来年4月から、東芝グループ企業の「西日本家電リサイクル」や「テルム」が回収した使用済みテレビから分離・破砕した難燃性PSのリサイクルをスタートさせる計画である。リサイクルに当たっては、新日鉄化学の九州製造所と君津製造所のどちらかで洗浄して異物を除去したうえでバージン材料と混合し、物性や成形性を最適の状態に調整してペレット化することにしている。バージンレジンより安いレジンへの再生ができる見通しという。いずれは、両製造所で並行してリサイクルしていくことになりそう。
 当面目標とするリサイクル数量は年間300~500トン。1年後には1,500トンを目指す。両社では、パソコンなど他の電機・電子製品のプラスチックのリサイクルにもこの技術を応用していけるようにもっていきたいとしている。