2007年08月03日
アジアのスポットエチレン価格が続伸
中国向けは1,300ドルで今年1月の水準に戻る
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 アジア地域のエチレンのスポット価格が今週に入って一段と上昇してきた。ある大手商社によると、いまなお大口輸入国である中国の直近のCFR価格はトン当たり1,300ドルとなっており、また、東南アジア諸国に対する輸出各国の提示価格も同1,300ドルに達している。今年1月の水準に戻りつつある。うち東南アジア地域の需要家の多くは1,300ドルのオファー価格は高すぎるとして抵抗を示しているが、現在の国際需給バランスの逼迫度合いから判断すると遠からずサプライヤー側が押し切ることになるというのがわが国大手商社に共通した見方となっている。
 
 1ヵ月前のアジア地域におけるエチレンのスポット相場は、中国のCFR価格が同1,000〜1,030ドル、東南アジアの同じくCFR価格が同1,070〜1,100ドルであった。うち中国向けは週単位で上昇、一ヶ月で同200〜230ドルもの値上がりとなった。一方の東南アジアの価格は、一時期イランから大量にエチレンが持ち込まれたため同1,020ドル前後まで下がったが、イラン玉が欧州に振り向けられるようになったためここにきて中国向け同様に急騰し始めているもの。
 
 全体の相場が急上昇してきた最大の要因は、ポリオレフィンなど主要誘導品の需要がアジア地域全域で急拡大し、市況も順調に底上げされてきたため石化企業の多くがエチレンの外販を手控えて自消率を引き上げる行動を取り始めたことにあると見られる。また、日本、韓国、台湾のエチレンセンターの一部がメカニカル面の事情で稼働率の調整を余儀なくされていることも需給逼迫に輪をかけるかたちになっていると指摘する商社もある。