2007年08月23日
三井化学、フェノールの国内価格を改定へ
フォーミュラーを見直し、海外価格との格差是正
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は23日、フェノール(PH)の国内販売価格を9月1日出荷分からキログラム当たり20円引き上げると発表した。
  
 これは、原油の高騰に伴って原料に加えて用役費も急膨張し、また設備投資負担も増えるなどでコスト全体が大きく膨らんでいるにもかかわらず価格決定フォーミュラー(いわゆるBZリンクの先決め・月決め価格体系)の中身が過去1年にわたって[原料ベンゼン(BZ)の国内コントラクト価格(JCP)プラス同40円]に設定されたままとなっていて採算が急速に悪化しているので、同フォーミュラーを見直して[JCPプラス60円]に改めることにするというもの。

 同社では「当社の場合、用役費や設備費の負担増に加えて、安定供給を維持していくため自社の設備で不足する年間4〜5万トンのPHを欧州から輸入しているので採算が一層厳しくなっており、それだけに今回の価格改定はどうしても需要家各社に受け入れていただくほかない」(粕谷俊昭・同社フェノール事業部副事業部長)と説明している。
 
 これによって、国内との間で大きく開いているアジア地域におけるPHの加工費(BZとのスプレッド)の格差の是正もはかっていく。同社によると、PHのアジアのCFR価格は05年4Qのトン当たり900ドル強をボトムに急上昇を続け、直近では同1,600〜1,650ドルに達している。うちBZのコントラクト価格(いわゆるACP)とのスプレッドも急速に拡大し、かつては同140〜150ドルであったのが現在では同550〜600ドルに改善されている。国際的に需要が順調に拡大しているのに対して供給能力の増加が極めて小規模にとどまっていて需給のタイト化が一段と進んでいることによるもの。このスプレッド分を邦貨に換算するとキログラム60〜68円ということになる。今回の三井化学の価格改定が需要家に受け入れられると、こうした海外と国内との間で大きく開いてきたスプレッド(加工費)のギャップの縮小も実現することになる。