2007年08月24日
フェノールの国際需給、2011年までタイト
三井化学が長期の需給予想を作成
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、世界全体におけるフェノールの長期需給見通しをまとめた。それによると、少なくとも2011年までは現在と同様のタイトバランスが続くとの結論になっている。
 
 同社の推定によると、06年における総需要量は835万トン、対する総供給量は875万トンとなり、その結果ネームプレート上の平均稼働率は95%となった。同社では、ネームプレート上の平均稼働率95%は定修による運休や小規模の操業トラブル等の発生を考慮すると実質フル稼働を意味すると分析している。

 続く07年については、総需要量が前年比3.8%増の867万トンに拡大、一方の供給量は3.5%増の909万トンにとどまるため名目稼働率は06年と同じ95%で、実質稼働率も06年同様にほぼ100%になると予想している。

 以下11年までの各年については、08年が899万トンの需要に対して供給量が969万トン、09年が929万トンの需要に対して供給量が983万トン、10年が963万トンに対して供給量が1,013万トン、11年が1,012万トンの需要に対して供給量が1,068万トン--と予想している。

 11年までの間に拡大する需要量は177万トンで、年平均の伸び率は3.9%との予想になっている。対する供給力は190万トンの増加にとどまり、このため現在のタイトバランスが長期にわたって継続となるのは確実というのが同社の結論となっている。年間平均のネームプレート上の稼働率は、08年こそ中国・キングロードの年産12万トン設備の本稼動入りとタイ・PTTの同20万トンプラントの立ち上がりが作用して93%に低下するものの、翌年は94%にアップ、そして10年と11年はともに95%、つまり実質フル稼働に戻ると予想している。
  
 現在のPHの需要のうち最も消費量が多いのはBPA(ビスフェノール-A)向けだが、同社では今後もBPAの需要はPC(ポリカーボネート)向けに安定した成長が見込めると判断している。06年の需要量は332万トンであったが、07年以降は年率平均成長率5.5%で推移して、11年の需要量は433万トンに達すると予想している。BPAに次ぐ市場規模のフェノール樹脂については同3.7%成長して11年には388万トンになると想定している。

 地域別では、アジア(日本を除く)の成長率が最も高くて8.0%に達すると見ている。一方の供給力の拡大もアジア地域が中心となっていく見通しだが、需要量を大きく上回る計画になっていないので平均稼働率は現在と変わらず、したがってタイトバランスが続くことになると同社では予想している。