2007年08月27日
日立化成、流体回路シート「μARTs」で基本特許群を取得
【カテゴリー】:新製品/新技術(経営)
【関連企業・団体】:日立化成工業

 日立化成工業は27日、分析化学や医療分野で使用が進んでいる小径チューブを自在な形状に配線し、パーツ化した流体回路シート(商標名:μARTs)で基本特許群を取得したと発表した。

 近年、微量液体(ナノリットル〜マイクロリットル)を対象とした分析化学や合成化学に関する研究が進み、産業機器や分析装置の小型化・高精度化もあって、微量液体を取り扱う流路の小径化や高集積化の要求が高まっている。

 だが、これらの小径チューブは、集積化が進む電気配線板などと比較して技術が遅れ、これまでは単純に束ねて使用されるのが主流だった。

 今回開発した「μARTs」は、複数の小径チューブ(内径50 マイクロメートル〜1 ミリメートル程度)を基材上に自在に配線し、シート状に固定したもので、各種の電子部品開発で培った微細加工技術を応用して実現した。

 チューブにはプラスチックやガラスといったさまざまな素材を選択可能で、耐圧、耐薬品性など顧客ニーズに広く対応可能。また、チューブを流路として使用しているため、シート内での流路の立体交差や多層化が容易で、高密度な流路を形成できる。
 
 本シートの使用により、複数のチューブの交換がシート一枚の交換で容易に可能になるほか、温度制御など新たな機能を付加しやすくなる。
 
 同社は、これまで取り扱いが煩雑になりがちだった複数のチューブを一つのパーツとして扱えるようにするという新しいコンセプトをもとに開発を進め、今回の基本特許群取得となった。

 今後は、海外での権利化など特許網を充実させ、現場で迅速・精密な操作が求められる環境分析や、在宅医療における簡易分析などさまざまな分野での用途展開を目指し、早期製品化を図る。なお同社は「2007 分析展」(8月29日〜31日、幕張メッセ)に「μARTs」を出展する。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1188194651.pdf