2007年08月30日
旭化成ケミの中国の機能化学品工場が本稼動入り
自動車部品用PURの需要増に対応
【カテゴリー】:経営(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズが中国・江蘇省南通市南通経済技術開発区に今年5月末に建設したHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(商品名:デュラネート)の製造工場がこのほど本格稼動入りした。設備能力は年産10,000トン。
 
 「デュラネート」は、同社が独自に開発した機能化学品の一つで、無黄変型のウレタン樹脂(PUR)の硬化剤が主用途。「デュラネート」を使用したウレタン樹脂は耐候性をはじめ機械的および化学的特性が大幅に向上、このため自動車部品用塗料やインキ、接着剤、注型材など幅広い分野で人気が急上昇中。
 
 これまで旭化成ケミカルズは、同社日向工場の年産10,000トン設備で「デユラネート」を製造、同樹脂の硬化剤向けを中心に国内販売するとともに中国にも輸出してきた。今回の新工場の建設は、中国における同樹脂の需要が自動車の相次ぐ増産によって急拡大してきたことに対応して実施されたもの。同工場の運営ならびに営業活動は同社の全額出資による「旭化成精細化工(南通)有限公司」が進めていく。
 原料のHDIは、同社と日本ポリウレタンの折半出資会社の南陽化成から持ち込む。南陽化成では、今回の南通工場の建設に合わせて既存の年産23,000トン能力のHDI設備に同20,000トン設備を追加、7月から同43,000トン体制に移行している。
 
 中国では、自動車産業の急成長に歩調を合わせるかたちでバンパーその他の自動車部品向けの塗装用に無黄変ウレタン樹脂の需要が大きく伸びている。それに伴いHDI系ポリイソシアネートの需要も急拡大しており、したがって今回の旭化成ケミカルズの現地進出はタイムリーと言える。同社では、同国の市場で特に人気が高い高機能品種を前面に押し出して安定基盤を構築していく考え。