2007年09月10日
タカラバイオ、韓国グリーンクロス社に新しいがん免疫療法の独占実施権供与
【カテゴリー】:経営(海外、ファインケミカル)
【関連企業・団体】:タカラバイオ

 タカラバイオは10日、韓国グリーンクロス社(Green Cross Corp.)に対して、タカラバイオが開発した新しいTリンパ球培養法によるがん免疫療法を韓国内で独占的に用いることを許諾するライセンス契約を同日締結したと発表した。レトロネクチンを用いたTリンパ球の拡大培養法をライセンスするのは今回が初めて。

 従来のがん免疫療法の一つである活性化リンパ球療法は、がん患者の血液中に含まれるTリンパ球を抗CD3モノクローナル抗体で活性化したあと、インターロイキン2と呼ばれるサイトカインを添加した培地で約2週間培養し、Tリンパ球の数を増やした後に、再び患者の体内に戻す方法がとられている。

 しかし、米国の国立がん研究所グループが発見した最近の研究結果では、Tリンパ球の数を増やせば増やすほど、増幅されたTリンパ球は分化が進み、体内で腫瘍に対する攻撃能力が低下していることが明らかとなった。
 
 しかし、短期間の培養ではTリンパ球の体内での腫瘍に対する攻撃能力は増加するが、増幅されたTリンパ球の数が十分でないため、治療効果はあまり期待できない。

 タカラバイオは、この二律背反の困難な状況を、レトロネクチンと抗CD3モノクローナル抗体の二種類のタンパク質を使って克服した。
 
 この方法は、抗CD3モノクローナル抗体単独に比べて、効率よくTリンパ球の拡大培養(細胞を増やす)を行うことができろ。増殖した細胞中に未分化な細胞であるナイーブT細胞が多く含まれていることも明らかとなった。
 
 グリーンクロス社は、新しいがん免疫療法を用いた臨床開発を行うための独占的実施権供与を受けて、今後韓国内で前臨床試験及び臨床試験を開始する。タカラバイオは関連の技術サポートを行う。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1189410431.doc