2007年09月11日
アジアのエチレン相場がさらに下降
中東からの流入量の増加で需給が緩和
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 大手商社各社の調べによると、アジア各地におけるエチレンのスポット価格がさらに下降してきた。直近の東南アジア諸国向けのCFR価格はトン当たり1,200〜1,220ドルで、1週間で20〜40ドル下がっている。極東のCFR価格は同1,230〜1,250ドルで同じく1週間前に対比するとやはり平均30ドルの値下がりとなっている。ともに3週間連続の下降である。
 
 いずれも、イランやサウジアラビアからのエチレンの流入量の増加によって需給の緩みが拡大しつつあるためと分析する向きが大手商社の間には多い。
 もっとも、イランとサウジアラビアからのアジアへの流入の最新の実態を明確に示す公式のデータは見当たらない。大手商社の見方にもばらつきがあって、最近の数ヶ月の流入量が月間80,000トンに達していると指摘する商社もあれば50,000〜60,000トンと推定する商社も存在する。しかし、この1ヵ月前後の流入量が大幅に増えているとの点ではどの商社の見方も一致している。
  
 今後については、コンプレッサーの故障で運休している台湾・FPCの年産70万トン能力のエチレン第1号機が予定通り9月20日から稼動を再開しても、それにタイミングを合わせて同社が同104万トン能力の第1号機を定修で運休することにしており、また住友化学、韓国・湖南石油化学、同・SKの3社が9〜10月中に定修で合計130万トン強のエチレンプラントを運休するので少なくとも極東地域ではエチレンが余ることにはならないと予想する商社が多い。あとは定修の予定のない東南アジア地域に中東から余剰エチレンがどのていど持ち込まれるかが注目される。