2007年09月11日
PPの価格のナフサスライド率が一段と向上
全販売量の80%に達する樹脂メーカーも
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況)
【関連企業・団体】:なし

 国内の販売価格をナフサ価格の四半期ごとの変動幅に合わせて決定するいわゆる“ナフサスライド制”の普及率がポリプロピレン(PP)メーカーの間で急速に高まってきた。
 PPメーカーの多くが7〜9月期におけるナフサスライド制の採用率が60%を超えたと述べており、中には80%に達していると明言するメーカーも見られる。半年前に比べるとおよそ10ポイント拡大している模様。1年前に比べると、拡大の幅が比較的小さいところでも15〜16ポイント、大きいところでは20ポイントに達しているようだ。
 
 この1年でナフサスライド制は急速な広がりを見せたと言える。これは、これまで以上の多くの需要家が同制度に切り替えた方が買い手に取っても経営効率の面でプラス効果が大きいと判断し始めたことによるもの。最近は、ポリエチレンメーカーと需要家の間でも同制度への移行についてこれまで以上に真剣に検討するところが現われており、このままいくとポリオレフィン全体の同制度の普及に大きく加速がつきそう。
 
 同じポリオレフィンの中でもLDPEとHDPEの場合は、全体にナフサスライド制への切り替えがPPほど進んでいない。一部の企業はこの第3・四半期で60%を超えたと述べているが、多くは40%台にとどまっている模様。LDPEもHDPEも最大消費先が汎用フィルムメーカーで占められていることが大きく影響しているといえそう。
 それに対してPPの場合は、消費量が最も多い一般工業用のほとんどを占める自動車部品と家電部品の購買者が早くから四半期単位のナフサスライド制の採用に同意してきた。これが現在のような大きな格差がPEとの間に生じる最大の要因となっている。
 しかもそのPPの同制度の構成比率がここにきてさらに拡大してきている。これには、日用雑貨用や容器包装用の品種についても同制度の採用を容認するユーザーが増えてきたことが大きく作用していると見られる。工業用品種以外の需要家の間でも、レジンメーカーとの間で不定期に繰り返し値上げ交渉を持たざるを得ないことによって生じるエネルギーの消耗を抑えてその分を新市場・新製品の開発に活用すべきとの経営判断に落ち着くところが増えてきたためといえそう。こうした傾向を捉えてポリオレフィン各社とも第4・四半期以降はさらに同制度の占める比率を高めていく構えだ。