2007年09月12日 |
帝人ファイバー、マツダと共同で植物由来繊維のカーシート素材を開発 |
耐熱性バイオプラスチック「バイオフロント」市場展開へ |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:帝人 |
帝人は12日、新開発した耐熱性バイオプラスチック「バイオフロント(TM)」の市場展開の第一弾として、帝人ファイバーがマツダと共同で、自動車内装に使用可能な品質と耐久性を有する「バイオフロント(TM)」繊維を100%使用した自動車用シートファブリックの開発に成功したと発表した。 この製品は、来月開催される「第40回東京モーターショー2007」にマツダが参考出品する新型「プレマシーハイドロジェン RE ハイブリッド」のシート表皮などに搭載され、世界初公開される予定。 帝人グループは、これを契機として、今後も「バイオフロント(TM)」の特徴を活かし、各種分野への展開を積極的に推進していくとしている。 帝人は昨年、全く新しいタイプの耐熱性バイオプラスチックを開発し、その後武蔵野化学研究所(本社:東京都中央区、濱野一衛社長)と共同で実用化研究を進めるとともに、帝人グループの保有する高分子加工技術をベースとして用途研究に取り組んできた。 <これまでの経緯> (1)ポリ乳酸(PLA)をはじめ、現在上市されているバイオプラスチックは、環境配慮の観点から注目をされているものの、耐熱性や耐久性などの性能面において石油由来のプラスチックに及ばず、充分に普及するまでには至らずにきた。 (2)こうした中で、当社は2004年より、武蔵野化学研究所、株式会社ミューチュアル(本社:大阪市中央区、十河和明社長)、および京都工芸繊維大学の木村良晴教授とともにバイオプラスチックの研究に取り組み、昨年、全く新しいタイプの耐熱性バイオプラスチックを開発した。 (3)その後、武蔵野化学研究所と共同で実用化研究を進めるとともに、帝人グループの保有する高分子加工技術をベースとして用途研究に取り組んできた。 (4)このたび、こうした研究を重ねてきた結果、従来のバイオプラスチックでは困難であった市場ニーズを満たす製品の提供に目処が立ったことから、帝人グループとしての統一ブランドを定め、グループを挙げて市場展開を図っていくこととした。 <「バイオフロント(TM)」の特徴> (1)植物由来の原料を使用するため、石油を含まず環境にやさしい。 (2)融点が約210℃で、現在上市されているバイオプラスチックで最も成長性が高いと言われるポリ乳酸の融点を40℃も上回る。この耐熱性はPBT(ポリブチレンテレフタレート)に匹敵する。 (3)この高耐熱特性により、既存のバイオプラスチック製の繊維では不可能であったアイロンがけも可能となる。またフィルムや樹脂の高温成型プロセスへの適合性も有している。(4)また、透明性でも、汎用性の高いPET(ポリエチレンテレフタレート)を上回る高透明性を有している。 (5)原料は、ポリ乳酸に使用されるL乳酸と、その光学異性体であるD乳酸であり、両者のユニークな結晶構造が、ポリ乳酸では実現できなかった高耐熱性を生み出している。 (6)こうした特性により、既存のバイオプラスチックがポリプロピレン(融点が約160℃)など限られた素材の代替としてしか用いられていないのに対し、新型耐熱性バイオプラスチックは汎用性の高いPBTやPETの代替素材として、広く活用されることが期待される。 |