2007年10月05日
極東のエチレン相場、ナフサ高でも低水準
中東品の流入で需給バランスに余裕
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 大手商社筋によると、極東のエチレンのスポット相場は、上昇傾向が顕著となってきた欧米とは逆に低水準に貼り付くかたちとなっている。9月中旬以降のCFR価格はトン当たり1,220ドル台半ばで推移しており、その前の週の平均を同30ドル下回っている。最近のピークの8月上・中旬に対比すると同70ドル安ということになる。

 極東では、住友化学、台湾・FPC、韓国・湖南石化とSKの計4社がエチレンプラントを運休して定修を実施中。休止プラントの設備能力は4基合計で年産250万トンにおよぶ。したがって、10月一杯の極東地域のオレフィンならびに主要誘導品の需給バランスは夏場に比べてかなり引き締まることになる。しかも原料ナフサの価格が再び急上昇しつつあり、このため同地域のエチレンスポット価格は欧米同様に底上げされても不思議ではない。

 それにもかかわらず現実の相場が低水準に貼り付いている要因について、大手商社では、サウジアラビアとイランから余剰エチレンが台湾を中心としたアジア地域に集中的に流入してきていることが大きいと分析している。流入の正確な数量は把握されていないが、月間4万トン前後が持ち込まれつつあるのではないかと多くの商社が推測している。

 サウジからの流入は、酸素供給装置の故障に伴う大型EGプラントの大幅操業ダウンによるもの。またイランからの流入は、年産110万トン能力のマルーンの第7号機の稼動開始で一気に需給に大幅な余裕が生じたことによるものとみられている。ただし、東南アジアの相場は誘導品需要の活発化によって強含みに転じている。直近のCFR価格は極東の平均を同20ドル前後上回っている模様。