2007年10月05日
日本化学会が「学習指導要領」の改訂で提言
「理科や化学の重要性をしっかり教えよ」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学会
会見する日本化学会代表各氏

 文部科学省では学校教育に関する学習指導要領の改訂作業を進めているが、社団法人・日本化学会の藤嶋昭会長(神奈川科学技術アカデミー理事長)、井上祥平化学教育協議会議長(東京大学名誉教授)ら代表4氏は5日記者会見し、「これまでの学校教育には、科学の意義と重要性についての教育が欠けていた」などと指摘した上で、「理科の時間数と必要単位数をもっと増やしてほしい」などを内容とする改革提言を発表した。
 
 わが国化学分野の「専門家集団」としての日本化学会には、文科省が指導している小中高の理科・化学教育の現状には不満がつよく「なぜ理科や化学を学ぶのかが生徒には分かっていない」などの声が以前からあったようだ。。
 
 提言は冒頭に「問題点の指摘」として、以下の4点をあげている。
 
(1)科学の意義と重要性についての教育が欠けていた。
(2)科学教育が、小学生から一般人までの生涯教育となっていなかった。
(3)科学の定量性を軽視した教育が行われてきた。
(4)化学が物質の科学であることがはっきりと教育されていなかった。
 
 こうした指摘を前提に、提言は、(1)小中高の科学教育全般にわたる提言、(2)高校理科全般の学習指導要領に関する提言、(3)高校化学の学習指導に関する提言の3項目に分けて行い、さらに問題点をあげて補足説明を行った。
 
 提言内容を説明した、日本化学会化学教育協議会教育課程検討小委員会の細谷治夫委員長(お茶の水女子大学名誉教授)は、静かな口調で「これまで何度も意見を述べてきたが、生ぬるいことではだめだと思い、頭ごなしに言うつもりの提言にした。内容は常識的で、ごく当たり前のことを言っているにすぎない」と語った。
 
 記者会見には藤嶋会長、井上議長、細谷委員長のほか日本化学会化学教育協議会幹事会の下井守委員長(東京大学教授)の各氏が出席、それぞれ意見を述べた。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1191567467.tif