2007年10月10日 |
PHの国際需給バランスが一段とタイトに |
ベルギーと韓国で大型定修がスタート |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外) 【関連企業・団体】:なし |
大手商社筋ならびに大手フェノール(PH)メーカー筋によると、PHの国際需給バランは10月に入って一段とタイトな状態となっている。 これは、アジアと欧州の両地域で需要が着実な伸びを続けているなかで、ベルギーと韓国の大型PHプラントが定修のため相次いで運休しはじめたことによるもの。また、中国の新設備の稼動開始時期が11月にずれこむことになった点も少なからず影響を及ぼしていると見られている。 PHの需要は、今年もビスフェノール-A(BPA)向けとPH樹脂向けを中心に着実な伸びを続けており、三井化学では今年の全世界の総需要量は前年を6.6%上回って909万トンに達すると推定している。 対する供給設備能力は、エルチサ、三井化学・シンガポール、ボリアレスの3社が新・増設したものの増加規模は合計で年産35万トンにすぎず、したがって世界各地の旺盛な需要に対応していくには各社が引き続きフル稼動していくことが必要となっている。 こうした中で、最大手のベルギー・イネオスが9月中旬にアントワープの年産47万トン設備を定修のため運休したのに続き、韓国・錦湖が3系列合計30万トン装置を10月1日から9日までの間に順次運休して定修に入った。9月末にイネオスとGEの米国工場の定修・運休が終了して一息つく間もなく欧州と韓国の両拠点の大型プラントが定修入りしたわけで、しかも10月早々に稼動開始になると予想されていた中国・キングボードの同12万トン設備の立ち上がりが11月に延期になるとの情報もあって、市場には逼迫感が大きく広がっている。このため市況はトン当たりCFR1,600ドル前後の高水準に貼り付いている。 ユーザーにとって救いは、11月以降しばらく定修による運休の計画がない点だ。加えて、イネオスはアントワープ工場で今回の運休に合わせて同17万トンの増設工事も並行して進めていて、11月中旬にも同工場の実総生産能力は同64万トンに拡大する見通しにある。このため、次回に世界各地で大型定修が集中する来年春までは均衡した需給バランスに戻ることになりそうだ。 |