2007年10月12日
ANの対中輸出価格が引き続き上昇
SECCOの運休も響いて需給が一段と逼迫
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 大手商社ならびに大手AN(アクリロニトリル)メーカー筋によると、ANの最大消費国である中国向けの直近の輸出価格(CFR価格)はトン当たり1,900〜1,950ドルまで上がってきている。
 1ヵ月前に比べると同20ドル、2ヵ月前に対比すると80ドル前後高い。年初に比べると350〜400ドル上がったことになる。
 
 今年に入ってからはほぼ一貫してAN各社の希望が中国の需要家各社に受け入れられているわけで、この結果半月単位で史上最高値の更新が続くかたちとなっている。
 最近の続騰の要因は、中国国内の需要が関係者の当初の予想以上の伸びを遂げているのに対して、供給量が一部企業の操業トラブルもあって逆に縮小していることにあると見られる。中国国内の需要は、繊維向けが減少しているもののABS樹脂向けが大きく伸びているためトータルでは前年比2ケタの伸びになっている模様。
 対する供給力は、中国・SECCOが操業不調が続いていた年産26万トン設備を修復工事のため9月10日から30日まで運休したことや、他の国でも一部の設備が操業トラブルを起したことが重なって需要量を完全に下回る状態が続いている。
 
 現時点では、全てのプラントが安定した操業に戻っている。しかし需要家の在庫は必要量を明らかに下回っているようで、このため暫くは価格が反落する事態にはならないと見られている。