2007年10月17日
三井化学のPHの価格改定交渉が決着
フォーミュラーの見直しで15円前後引き上げ
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学がかねてからフェノール(PH)の需要家各社との間で進めていた同製品の価格改定交渉がこのほど決着した。10月1日出荷分からキログラム当たり15円前後引き上げることで各需要家と合意した。

 同社が8月下旬に打ち出した価格改定計画の内容は、9月1日出荷分から同20円引き上げるというものであった。しかし、フェノール樹脂大手など需要家各社から、上げ幅の縮小と実施時期の繰り延べを繰り返し強く要望されてきたため、歩み寄って妥結にこぎつけたもの。

 PHの国内価格は、主原料BZの国内価格に副原料費や燃料費等の用役費を含めた加工費を加算して月単位の先決め方式で決定される仕組みとなっている。国際的にも広く普及しているフォーミュラーであり、したがって全ての需要家もこのフォーミュラーに沿っての価格決定を容認してきている。

 今回の改訂は、そうしたフォーミュラーのうちBZ価格に加算されるα分を引き上げることにしたもの。国際市場では、原燃料費の高騰と需給の逼迫を背景にこのプラスα分が早くから底上げされており、直近のアジア市況におけるBZ価格とのスプレッドはトン500ドルに達している。今後はさらに600ドルになるとの見方が広がっている。

 それに対して日本国内のスプレッドの幅、BZプラスα分は最近の用役費の上昇分に見合うレベルになっておらず、国際市場のスプレッドとも大きな開きが生じてきていて三井化学をはじめとしたPH各社の採算は急速に悪化しているという。

 フェノール樹脂メーカーやアルキルフェノールメーカーなど需要家も、そうした実情は理解しており、このため今回の価格改定も基本的には受け入れるほかないとしていたが、全面的に三井化学側の要求を受け入れると事業採算性が著しく圧迫されると判断して上げ幅の縮小と実施時期について再考を求めていたもの。