2007年10月23日 |
「世界の模倣品被害80兆円」対策構想に水際差し止めや刑事罰 |
【カテゴリー】:行政/団体(海外) 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経産省が23日発表した「模倣品・海賊版拡散防止条約」(Anti−Counterfeiting Trade Agreement:ACTA)とは、知的財産権の執行に必要な国際的な新しいスタンダードとなるもので、現行の国際規律であるWTO/TRIPSは最低限の基準。インターネットの普及、国際分業の進展など、多様化・複雑化する模倣品・海賊版問題への対応策としては、より強力な国際規律が必要とされてきた。 「ACTA構想」が生れた経緯は、2005年7月のG8グレンイーグルス・サミットで、当時の小泉総理が「模倣品・海賊版対策のため、条約の必要性を含めて今後、国際的に取り組むべきである」と主張。共同文書に採択されたのが始まりという。 WCOなどの国際機関の調査によると、全世界での模倣品取引額は、年間約5000億ユーロ(約80兆円)、また貿易額は年間2000億ドル(約20兆円)と推定されている。 経産省によると、わが国では年間1億円以上の模倣品被害を受けている日本企業は20%以上、100億円以上の被害を受けている企業は1.7%にのぼっている。(06年度調査) こうした実態から「ACTA構想」では、今後以下のような対応を検討していく。 (1)模倣品・海賊版と疑われる産品の輸出及びTrans−shipmentの水際における差し止め。 (2)税関で没収された模倣品・海賊版が権利者の同意なしに流通経路に流入することを防止する措置、没収、廃棄を確実にするための措置の義務付け。 (3)税関での侵害物品の保管・廃棄に係る費用の過度な権利者負担の抑制。 このほか「模倣ラベルの輸入の刑事罰化」「税関をはじめとする執行機関間の協力」「途上国へのキャパシティビルディング(能力造り)、技術支援」などの対応策も盛り込みたい意向である。 |