2007年10月23日
EVAの国内出荷の低迷が続く
1〜9月合計は前年同期の3%減に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 EVA(エチレン酢ビコポリマー)の9月の出荷数量は20,362トンで、前年同月の実績を1.6%上回った。3ヵ月振りの前年同月超えである。
 
 国内向け出荷量は13,646トンで、前年同月を2.1%下回った。8月の同9.1%減に続いての2ヵ月連続の前年割れとなった。今年に入って早くも6度目の前年同月割れである。
 9月の総出荷数量が前年を上回ったのは、輸出が前年比10.3%増の6,716トンとなって国内向けの落ち込みをカバーしたため。

 1月から9月までの総出荷量は172,129トンとなった。前年同期の実績を1.4%上回っている。しかし国内向けは、114,005トンで前年同期を2.9%下回っている。この場合も、輸出が同10.2%増の55,740トンとなって国内向けの落ち込みをカバーしている。

 EVAの国内向け出荷の減少はいまに始まったことではない。05年の国内向けの年間出荷数量は153,354トンで前年の実績を1.7%下回り、翌06年の年間出荷量は149,432トンでこれも前年比2.6%減となった。今年もこのペースでいくとマイナス成長が必至である。

 こうした事態となった最大の要因は、同樹脂メーカー各社が、採算を確保できなくなってきた品種の生産と出荷を思い切って縮小する戦略を取り始めたことにある。この2〜3年は、シューズ向け、農PO向け、土木シート向けなど、価格が安くしかも将来の市場の拡大も期待できなくなった品種の出荷が目に見えて減っており、それが全体の出荷の減少に少なからず影響していると見られる。
 
 同樹脂各社が育成に力を入れているのが、太陽電池の封止用シートやホットメルト接着剤向け等の高機能品種である。酢ビのコンテントが28%以上と高い差別化品種で、世界全体でも安定した供給体制を持つのは日本だけとされている。

 しかし、発泡用や農PE用や汎用フィルム・シート用といった低酢ビ品種が占めていたほどの市場規模を確保するにはまだ至っておらず、このため低価格品種分野からの撤退に伴う国内出荷数量の縮小に歯止めをかけるまでにはなっていないと見られている。