2007年11月07日
酢ビのアジア市況が一段と上昇
中国向けはトン1,450〜1,500ドルに
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 酢酸ビニルのアジア相場が需給の逼迫を背景に上昇を続けている。大手商社や酢ビメーカー筋によると、最大の消費国である中国向けの11月中・下旬渡しのCFR価格は、安いケースでトン当たり1,450ドル、高いケースでは1,500ドルとなっている。
 
 10月後半の引渡し分は平均1,400ドルであったので、3週間で50〜100ドル上がったことになる。9月後半に比べると150〜200ドル高い。
 
 化学製品の中でも特に高い上昇率となっている。これは今年夏場以降、米国、シンガポール、台湾などの大手酢酸メーカーが相次いで炭酸ガス装置のトラブルを引き起こして生産の一時中断を余儀なくされたことに伴い世界全体で酢ビの供給量が需要量を大きく下回る事態に陥っていることによるもの。また、酢酸の主原料であるメタノールの生産量が天然ガス不足によってチリやノルウェーで大幅に縮小し、また価格が急騰したことも酢ビの需給逼迫と高騰に拍車をかけるかたちとなっている。
 
 需要は、ポバール向けや紙力増強剤向けさらには繊維のサイジング剤向けを中心に中国をはじめアジア各国で順調な伸びを遂げている。一方の供給力は、中国で建設中の年産30万トン装置が完成する08年第3・四半期までは現状維持が続く。このため酢ビメーカーでは、酢酸プラントが全てノーマル運転を再開しても向こう1年のアジア市場はタイトバランスで推移すると判断している。