2007年11月19日
PEの出荷の1〜10月計、かろうじて前年並み
PPは国内向けも輸出も前年を上回る
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン各樹脂の今年1月から10月までの出荷数量は、いずれも前年同期をわずかながら上回った。ただしHDPEは0.03%増であり、またLDPEも0.5%増にとどまっている。ともにかろうじて前年同期の水準を維持したにすぎない。一方のPPは2.1%増と小幅ながらも着実な成長を遂げていると言える。
 
 ポリオレフィン3樹脂の同期の出荷実績で特に目を引くのは、国内向けの出荷が低水準にとどまっている点だ。HDPEは1.3%、LDPEは0.4%それぞれ前年同期を下回っており、PPだけは前年同期超えとなっているものの伸び率はわずか1.0%増にすぎない。いずれも昨年末に経済産業省製造産業局がまとめた今年の需要見通しの対前年比を下回っている。

 HDPEの前年同期割れは、最大消費品種のフィルム用が4.1%減となっていることによるもの。また、射出成形用が9.1%減となっている点も響いている。主力品種の中で前年を上回っているのは、中空成形用の0.7%増だけである。

 LDPEの前年割れも、フィルム用が0.6%減となっていることによるところが大きい。射出成形用も1.4%、電線被覆用も0.8%それぞれ減少している。加工紙用だけはかろうじて0.1%のプラスとなっているが、フィルム用等の不振をカバーするまでには至っていない。

 PPが小幅ながら前年を上回っているのは、主力の一般工業用が2.5%増と着実な伸びを続けているため。自動車部品向けの需要が緩やかながらも拡大傾向をたどっていることが大きい。しかしフィルム用は1.2%減でHDPEやLDPEと同様に不調であり、またシート向けも3.6%減で期待倒れになっている。

 輸出は、3樹脂とも前年同期を上回っている。HDPEは4.0%増、LDPEは6.2%増とともに順調で、PPは11.9%の大幅増となっている。多くのポリオレフィンメーカーが、国内の不振に輸出で対処してきたことによるもの。

 残る2ヵ月の出荷は、前年割れとなった昨年11〜12月の反動で若干の伸びは見込まれているが、小幅にとどまるとの見方がポリオレフィン各社の共通した判断である。