2007年11月20日
PTA大手がアジア地域の生産を大幅に縮小
減産と定修の集中で能力比30%強の減少に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況)
【関連企業・団体】:なし

 PTAメーカー筋によると、今週明けからのアジア地域におけるPTAの生産量は当分の間、設備能力比で少なくとも30%縮小することがはっきりしてきた。

 これは、アジア地域に多彩な生産拠点を設けている日本のPTA大手がいくつかのプラントの定修入りに伴う運休に加えて非定修プラントについても当面の需給ギャップの解消を目的に思い切った稼動調整を実施しはじめたことによるもの。

 三菱化学が今年春に中国・寧波に建設した年産60万トン能力の新プラントも16日から運休している。同プラントを含め、生産調整中の全ての設備の稼動が従来のレベルに戻る時期はいまのところはっきりしていない。

 PTAのアジア地域におけるこの半年あまりの需給バランスは、昨年下期から今年春にかけての相次いで完成した大型新・増設プラントの稼動開始が足を引っ張って大幅な供給過剰状態に陥っている。それに伴い市況も急落、このため各社とも原料PX(パラキシレン)の高騰分の製品価格への転嫁が不可能となり、長期にわたる採算割れの事態となっている。

 わが国のPTA大手は事態を放置しておけないと判断、10月半ばから相次いで国内外で減産に踏み切り、先週からは新設備の全面的な運休になってきている。
 
 こうした動きは台湾、中国、韓国等のPTAメーカーの間にもひろがりつつある。このため、長期低迷を続けてきたアジア地域のスポット相場が最近はわずかながらも上向く気配を示し始めている。直近のCFR価格はトン850〜860ドルで、最近のボトムの10月の平均を同10〜15ドル上回っている。今後、日本各社を中心とした大幅減産が続けば市場には緊張感が広がり、それが市況の回復に結びついていく可能性が強い。