2001年06月14日 |
経済産業省、PSダンピング輸出問題で中国に「意見書」提出へ |
論点を整理し「公正な判断」求める |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:経済産業省 |
ポリスチレン(PS)の対中輸出をめぐって、中国から国内メーカー各社にダンピング容疑がかけられているが、経済産業省は近く中国政府に対して、この問題に対する当局の見解を「意見書」としてまとめ提出する。 同省では、これまでも担当室長を中国に派遣し、意見を述べるなどの対応をとってきた。しかし中国側の調査が本格化したため、改めて「意見書」を提出し、公正な判断が行われるよう求めることにした。 今回のPSダンピング問題については、中国側の考えとわが国業界側の主張の間になおいくつかの点でへだたりがあるが、経済産業省ではとくに論点として、次の2点を指摘する考えである。 (1)わが国PS業界は1996年~98年をピークに生産量が減っており、メーカーもアライアンスや能力削減による合理化に取り組んできた。設備能力は96年度当時の年産155万8,000トンから2000年には122万7,000トンと30万トン以上減少している。 輸出も96年の27万9,000トンから2000年は14万8,000トン、中国・香港向け輸出も、中国内で需要が増えているにもかかわらず絶対量で減っている。このことは、業界が無理な輸出をしていないことを示すものといえる。 (2)中国のPS市場にどのような被害を与えたかの根拠が重要になるが、日本からの輸出品の中には、価格の安いリサイクル品がPSメーカーとは別のルートで輸出されており正規品と混同されている可能性が高い。 また、日本からの輸出は多くは中国内の輸出産業向けに保税扱いで輸出されており、中国内の市場に流通している量は極めて少ないとみられる。はたして不当廉売によって輸出されているのか、国内産業に大きな損害を与えているのかなどの点についてはWTOの基準に照らし、透明性のある判断をするようにしてほしい。 |