2007年12月10日
東ソー、四日市でも機能材料を製造
HSZとジルコニア粉末の新設備を建設へ
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:東ソー

 東ソーは7日、同社南陽事業所に加えて四日市事業所内にもハイシリカゼオライト(HSZ)とジルコニア粉末の二つの機能材料の設備を設置すると発表した。

 設備能力はHSZが年産1,100トン、ジルコニア粉末が同550トン(ただし基礎設計能力は同1,100トン)。今月中に着工して来年12月に完工の予定。完工後ただちに営業運転に入る計画。建設所要資金は合計で80億円となる見込み。

 南陽事業所内で現在稼動中の設備の年間生産能力は、HSZが同1,100トン、ジルコニア粉末が同1,300トン。したがって四日市の新設備の完成すると、HSZの総生産能力は一気に現在の2倍に、またジルコニア粉末の製造能力は1.5倍に拡大することになる。

 今回同社が四日市事業所内にも両機能材料の量産プラントを建設することにしたのは、両製品ともに引き続き需要の大幅な拡大が見込まれるのに加えて、両製品のような高いシェアを確保している商品の場合は生産体制の一極集中によって発生しかねないリスクの回避を図ることも安定供給責任を全うする上で大切と判断したため。

 これら二つの機能材料のうちのHSZは、水分が多く含まれる環境下や過酷な高温条件下でも目的物質に対する十分な吸着性能を発揮する点や、優れた触媒能を備えている点などを大きな特徴とする材料。
 このため、これまでの石油精製や石油化学用の触媒用途に加えて自動車排ガス処理やVOC(揮発性有機化合物)の吸着除去剤など環境浄化材料としてもここにきて人気が急上昇し、事業の拡大に加速がついてきている。
 一方のジルコニア粉末は、従来のセラミックスの弱点であった脆さを克服した高強度・高靭性のファインセラミックスで、酸素イオン伝導性や遮熱性を合わせて発揮する点も大きな強み。
 こうした特徴が評価され、携帯電話等に使用される薄層コンデンサーなどの電子部品の製造用粉砕ボールや光ファイバーの接続部品、さらには歯科材料向け等に需要が拡大、現在では世界全体の市場でも圧倒的なシェアを確保するに至っている。
 
 これら高成長機能材料の製造設備の新設によって、同社は四日市事業所の基盤強化というかねてからの重要課題のクリアにも大きく歩を踏み出すことになる。