2001年06月13日
アジアでPE袋の生産体制が急拡大
現地資本が意欲、日系は頭打ち
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリエチレン業界筋の調査によると、アジア諸国におけるポリエチレン袋(PE袋)の生産体制がここにきて急速に拡大しつつある。注目されるのは、現地の異業種資本が相次いで同製品分野に参入する傾向が顕著になっている点で、これに押され、かつて活発であった日系企業の投資はいまや頭打ちの状態になっているという。
 同業界筋によると、この数年のアジア地域におけるPE袋の生産主体は日本の商社とフィルムメーカーの共同出資企業によって占められてきた。有力フィルムメーカーが日本国内の過当競争に音を上げて、人件費が圧倒的に安く、原料レジン価格も日本を下回る中国や東南アジア諸国に生産拠点を移す行動に出たことによるものであった。その結果、アジア地域全体における現在の日系資本の総設備能力は月産1万4,000~1万5,000トンとなっていると推定されている。生産される製品の6割強が日本に輸出されているとのデータもある。
 ところが最近は、中国、タイ、インドネシア、マレーシアといった国々の有力資本の間で新たに同製品の製造販売に乗り出すところが相次ぐようになっている。これは、日本国内のスーパーをはじめとした大口需要家の多くが安価なアジア製品の輸入にこれまで以上に積極的に取り組むようになってきた点を睨んでのものと見られている。
 すでに現時点でも、現地資本による設備能力が既存の日系のそれを上回っている模様。しかも最近設置される装置は従来の日系企業の設備を大きく上回る規模となっているのでコスト競争力の点でも日系企業をしのいでいるようだ。
 このままいくと、日本のフィルムメーカーは一段と厳しい立場に立たされることになる。かねての基本課題である集約化にいよいよ踏み切る時が迫ってきた急務となりつつある。