2007年12月11日
化学物質国際シンポ、盛況裡に閉会
パネルディスカッションが一般市民にも人気
【カテゴリー】:環境/安全(行政/団体)
【関連企業・団体】:環境省

 9日にさいたま市の大宮ソニックシティで開幕した環境省主催の「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」(第10回化学物質の内分泌かく乱作用に関する国際シンポジウムと第6回小児等の環境保健に関する国際シンポジウムの併催)は、10日の専門家セッションをもって盛況裡に閉幕した。
 
 今回のシンポジウムは、「化学物質の内分泌かく乱作用についての10年間の歩み」をサブタイトルに国内外の専門家15人による講演と日本化学工業協会や主婦連合会の代表を交えてのパネルディスカッションの2部構成で開催された。
 「一般市民に化学物質と環境リスクとの係わりについて十分理解してもらいたい」(木村博承・環境省環境安全課長)との思いから企画された初日の基調講演とパネルディスカッションが特に一般市民に好評で、「化学物質の内分泌かく乱問題はとても難解でとっつきにくいと考えていたけど、今日の講演やパネルディスカションを聞いて少し理解でき、不安感もかなり薄らいだ」と明るい表情で会場を後にする市民の姿が目を引いた。
  
 パネルディスカッションでは、明治大学理工学部応用化学科の北野大教授の司会で、自然科学研究機構基礎生物学研究所の井口泰泉教授、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センターの井上達センター長、慶応大学の吉川肇子准教授、日本化学工業協会エンドクリンWGの岩本公宏・主査、主婦連合会環境部の有田芳子部長、環境省環境安全課の木村博承課長の計5氏が「化学物質の内分泌かく乱作用に関する研究」について一時間半にわたって熱心に討論した。
 最後はこの分野における権威の一人である井上センター長が「化学物質とエンドクリン作用との係わりについては、いまはまだ灰色と表現するほかない未解明の部分が少なくない。私たち専門家も世界各国と連携して早期解明に必死で取り組んでいくので、もうしばらく時間をいただきたい」と発言、簡単に白黒の判別ができないこの問題の持つ複雑さを強調するとともに一般市民と関係者に理解を求めてディスカッションを締めくくった。