2007年12月19日
PVCの出荷、11月は小幅ながら再び前年割れに
VCMは2ヵ月連続で前年同月を上回る
【カテゴリー】:実績/統計(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:塩ビ工業・環境協会

 PVC(塩ビ樹脂)の11月の総出荷数量は前年同月比0.8%減の188,028トンとなった。10月の総出荷量は3ヵ月ぶりに前年同月を上回った(1.1%増)が、11月は軟質用と電線その他用の大幅な縮小も響いて小幅ながらも再び前年割れに転じた。今年に入って5度目の前年同月割れである。

 出荷のうちの国内向けは同7.2%減の115,243トンとなった。9ヵ月連続の前年同月割れである。主力の硬質用が5.5%減と引き続き不振であったのに加え、軟質用が10.0%減、電線その他が8.7%減とそれぞれ大幅に縮小したことが影響した。

 一方の輸出は引き続き好調で同11.5%増の72,785トンとなった。今年に入ってからの全ての月が前年同月超えとなっている。中国の華南地区の再輸出加工企業向けと中東やインド向けが順調な伸びを続けていることによる。
 生産量は同0.4%増の186,182トンとなった。5ヵ月ぶりの前年同月超えである。しかし総出荷量を若干下回ったので、月末在庫は前月を2.0%下回って91,806トンに縮小した。

 同樹脂の11月の国内向け出荷が前年を下回ったことについて土屋隆・同協会会長(東ソー社長)は、「住宅着工件数の縮小が続いているのが最大の要因」と分析、そして今後についても「住宅建築がいつ回復するかはっきりしないので、楽観は禁物」と厳しい見方を示した。

 塩ビ業界が市場開拓に取り組んでいる塩ビサッシについては「優れた断熱性能が多くの関係者に評価されて前の年を30%上回る出荷が続いている」と順調な普及ぶりを紹介、さらに今後の展望についても「地球環境問題がクローズアップされていく中で一段と価値が認められ、採用範囲が広がっていくと見ている。塩ビサッシ断熱窓の採用に政府が減税措置を決定したことも追い風になろう」と明るい見方をした。

 また、「塩ビサッシやサイディングにとどまらず今後も新しい用途の開拓に全力を投入していくことが塩ビ各社に共通した最重要課題」とも述べて、塩ビ工業の発展に新製品・新技術の開発と育成が不可欠と考えを強調した。

 なお、同樹脂の原料でもあるVCM(塩ビモノマー)の11月の出荷数量は同1.7%増の256,396トンとなった。2ヵ月連続の前年超えで、うち国内向けは1.1%増、輸出は3.6%増となっている。