2007年12月27日
三菱化学、PPの原料確保に苦闘
特殊グレード用のプロピレンが不足
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は需要家各社から特に早期実現を強く求められている鹿島事業所内のポリオレフィンプラントの操業を第1分解炉の稼動率の引き上げ等によって再スタートさせつつあるが、こうした中で大きな悩みとなっているのはPP(ポリプロピレン)の高付加価値品種用の製造に必要な原料プロピレンの早期確保が思うように進まないことだ。

 現在は、合計3系列のPPプラントのうち、比較的規模の小さい二つの系列が稼動を再開して徐々にロードを引き上げつつある。これによって、汎用品種については当面の供給責任のかなりの部分を全うできる見通しも出てきている。また、同業他社から必要な応援集荷が得られれば急場を凌ぐことは可能と見られる。

 しかし設備規模が大きく、しかも同社グループ(日本ポリプロ)特有の自動車部品向け品種の構成比の高い年産156,000トン能力の新鋭プラントの操業再開には、特殊のスペックを持つプロピレンが不可欠なので、早期再稼動のめどはまだ立っていない。

 同社では、自動車メーカーへの供給に支障をきたすわけにはいかないとして、スペックのプロピレンの早期安定確保に全力を傾注しているが壁はかなり高い。鹿島の第1エチレンプラントはむろんのこと、水島のエチレンプラントの操業面の工夫や内外のオレフィンセンターからの緊急調達などあらゆる手段を講じることで局面を可及的速やかに打開したいとしている。