2008年01月10日
日立化成、半導体用ダイボンディングフィルム生産能力を大幅増強
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:日立化成工業
ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム

 日立化成工業は10日、約20億円を投じ、フラッシュメモリーなどのスタックド・マルチチップ・パッケージ(スタックドMCP=注:1) 向けに今後大幅な需要の拡大が見込まれる「ダイボンディングフィルム」の生産能力を段階的に増やし、2008年5月までに現状比約70%の増強を行うと発表した。

 音楽携帯端末、メモリーカードやソリッドステートドライブ(SSD=注:2)などのエレクトロニクス関連機器の高機能化・高容量化に伴い、半導体デバイスにおいてはロジック系の
更なる高速化及びメモリー系の大容量化が求められており、半導体パッケージの構造も、実装面積をより小さく、より高密度にできるスタックドMCPの採用が進んでいる。

 同社は、これらの半導体チップの高積層化に伴う市場のニーズに対応するため、熱サイクル性や耐湿性、耐はんだリフロー性など半導体パッケージの信頼性を向上させることができるダイボンディングフィルムを生産、供給しているほか、顧客の半導体パッケージ製造工程短縮のためダイシングテープとダイボンディングフィルムの機能を併せ持つダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを供給してきた。

 今回、五井事業所(千葉県市原市)の製造ラインを段階的に増強し、08年5月までに生産能力を現在の約70%増に当たる年間約200万平方メートルに拡大することを決めた。

 さらに、新製品の投入も積極的に行い、半導体製造メーカーで製造プロセスの合理化が図れる「電極取り出し用金ワイヤ埋め込みタイプ」のダイボンディングフィルムの製造強化、センサー用半導体パッケージの製造プロセスでの需要が見込まれる「感光性パターン形成タイプ」のダイボンディングフィルムの販売促進、及び半導体のチップ厚み50ミクロン以下で適用が検討されている次世代の半導体製造方式であるレーザー光を用いたダイシング方式で使用可能なダイボンディングフィルム「レーザーダイシングタイプ」の開発などを推進していく方針である。

【用語の解説】
(注:1)スタックドMCP :1 つのパッケージ内に複数の薄型化した半導体チップを積層(スタック)したもの。これまでの4段、5段に加え、最近では8段以上とさらに高積層化が進められており、これらの接続には、ウエハバックグラインド工程後にそのままウエハ裏面に貼り付けが可能で、ダイシング後の実装が容易なダイボンディングフィルムの需要が急速に高まっている。

(注:2)ソリッドステートドライブ(SSD) :磁気ディスクの代わりに半導体メモリーにデータを記録するストレージ装置。ハードディスク(HDD)の代替品として扱われ、今後は、パソコンへの搭載や、カーナビ、テレビなどのデジタル家電への組み込みが期待される。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1199938580.pdf