2008年01月17日
東ソーが新ポリマー2種を開発
サンプル配布で市場開拓を開始
【カテゴリー】:新製品/新技術(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:東ソー

 東ソーはこのほど新ポリマー2種の開発に成功、サンプル配布による市場開拓に乗り出した。 一つは極性基を導入したポリオレフィン系接着性ポリマー、そしてもうひとつは同じく極性を持ったオレフィン系の高性能エラストマー。いずれも、同社が得意とする極性ポリマー群、ケン化EVA(エチレン酢ビコポリマー)、CR(クロロプレンゴム)、CSM(クロロスルホン化ポリエチレン)の需要領域の大幅な拡大を目的に開発されたもの。

 前者は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼などの金属のほか、PPS(ポリオレフィンスルフィド)、ポリイミド、ポリカーボネートといったエンジニアリング樹脂など様々な基材に対して極めて良好な接着性を発揮するとともに、柔軟性、透明性、耐熱性も併せ持つ点が大きな特徴。
 同社では同ポリマーをフィルムに加工、平滑で透明の高接着性フィルムとして自動車、家電、建材向けを中心に販売していく計画。期待される用途としては、自動車用金属部品と樹脂との接合材、カーボンブラックを分散させた接着性導電フィルム、銅箔と熱接着した銅張り積層フィルム等が挙げられ、また、需要家の中にはマスキングフィルムとしての採用を検討中のところも現れているという。
 同社によると、同ポリマーの溶液は種々の金属粒子を高濃度で安定的に分散させることもできるとのこと。このため同社ではその強みをフルに生かせる新市場の開拓にも取り組んでいく構え。
 
 一方の後者は、CRやCSMなど東ソーが手掛けている既存のエラストマーを凌ぐ優れた耐熱老化性を発揮する点が最大の強みで、合わせて耐寒性にも優れているという。また、金属との接着性にも富んでおり、このため同社では、自動車のエンジンルーム内の部品用を中心に独自の市場を切り開いていくことにしている。
 
 現在の東ソーは、ポリオレフィン事業の特殊化と高付加価値化を強力に推進中のところ。激化する一方のポリマーの世界における生存競争を生き抜いていくには得意のEVA事業とラミネーション事業の質の一層の強化が不可欠との考えによるもので、今回の新規ポリマー2種もそうした基本思想に沿って開発された。
 汎用品種の伸びが完全に頭打ちとなってきたポリエチレン分野だけに同社のこうした新たな動きは多くの需要家筋から注目されよう。