2008年01月18日
東レ、世界最高レベルの導電性能をもつポリエステル導電繊維を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは18日、高い変形追随性と高導電性を両立する導電性ポリエステルポリマーを独自技術で開発し、その応用展開の第一弾として、合成繊維で世界最高レベルとなる優れた導電性能を有する新規ポリエステル導電繊維の創出に成功したと発表した。

 従来困難だった繊維表層全体にポリエステルベースの導電層を形成した構造となっている。このため温湿度等の外部環境に影響されない導電安定性と優れた導電均一性を実現した。
 
 通常、導電繊維には、にカーボンブラックなどの導電剤を添加するが、ポリエチレンテレフタレート(PET)等には導電剤の分散性が悪く、導電剤を多量に添加すると著しく増粘し
て曳糸性が低下するといった欠点があった。このため、導電剤の添加量に制限があり、通常のポリエステル単独では十分な導電性を発揮することができなかった。

 東レが今回開発したポリエステル導電繊維は、10の4乗〜10の8乗Ω/cm 台と、従来製品に比べて1ケタ以上高い世界最高レベルの導電性能を持っており、研究成果として次の2点をあげている。

(1)ベースポリマーと導電剤の親和性をナノレベルで制御する技術、導電剤を多量に添加しても高い変形追随性を有するポリエステル系ポリマーの設計により、導電剤を高濃度に添加しても細繊度糸の紡糸で求められるポリマー流の大変形にも追随でき、安定して溶融紡糸が可能となる導電性ポリエステルポリマーを開発した。

(2)上記ポリマーをベースに当社の独創的固有技術である精密複合製糸技術を駆使し、導電層を繊維表面に均一に形成することにより、繊維の長さ方向における線抵抗の「むら」を示す変動係数(CV 値)を従来製品の10分の1レベルの0.1 未満に改善し、優れた導電均一性を実現した。

 同社はポリエステル繊維の本来の特徴である、柔軟性や曲げ回復性などは保持しており、従来適用が難しかった帯電防止テープやハイレベルなクリーンルーム用防塵衣・工程資材など、産業資材用途も含めた幅広い分野に用途を期待している。

 今後、実用化に向けた基本技術を確立し、最終製品を提供するメーカー各社などとの共同
開発も含めて、幅広い用途への展開検討を進めていく。同時に、高い変形追随性と高導電性を両立する導電性ポリエステルポリマーの他分野への応用展開も検討していきたいとしている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1200636262.pdf