2008年01月21日
日立化成、新規銅表面処理技術で基本特許取得
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:日立化成工業

 日立化成工業は21日、次世代の電子機器に使用される高密度な配線基板に適応可能な新規の銅表面処理技術に関する基本特許を取得したと発表した。

 銅表面処理技術とは、銅の表面に微細な凹凸を形成し、絶縁層などとの接着性を向上する技術で、多層配線基板を製造する際に必要な配線と絶縁層との接着性を確保するために広く利用されている。
 
 近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、用いられる配線基板も配線パターンの微細化や高速信号の伝送に対応するための伝送損失の低減が重要課題となっている。しかし、配線基板製造の際に従来の銅表面処理を用いて凹凸を形成する場合、処理に伴う銅の溶解量が大きく、配線の微細化が進むにつれ、配線精度を保つことが困難になる。
 
 また、表面に接着性を確保するための凹凸を形成すると、高速信号では表皮効果により電流が配線の表面付近に集中して流れるため、伝送損失が大きくなる要因になる。そこで、絶縁層と配線の接着性を確保しつつ、微細配線化、伝送損失の低減に対応できる処理技術の開発が課題になっていた。

 同社が開発し、特許を取得した技術は、長年にわたる銅の酸化・還元処理技術に改良を重ねたもので、表面粗さ(Rz)が従来技術と比較し十分の一以下の20〜40nm(ナノメートル)レベルの微細な凹凸を均一に形成することができる。
 
 現在、この技術に用いる表面処理液の製品化を進めており、最大500×400ミリの基板に対応したサンプルワークを開始した。比較的低温・短時間の処理が可能で、形成した凹凸の形状が微細なため、従来の酸化・還元処理では不可能だった、量産性に優れ、薄型基板の処理にも対応可能なコンベア式水平搬送処理への適用も視野に入れて開発を進めている。

 なお、同研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)からの委託研究によって実施された。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1200889846.pdf