2008年02月06日
L-LDPEの出荷、07年は0.8%増にとどまる
国内は4年連続で前年の横並びが続く
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の07年の総出荷数量は938,196トンで、前年の実績の0.8%増にとどまった。2年連続の前年超えであり、また史上最大規模とはなったものの、3.6%の伸びを遂げて3年振りに前年を上回った06年に続く順調な伸びを期待していた同樹脂関係者の予想に反する実績となった。

 しかも肝心の国内向けは、前年比0.1%減の793,671トンでわずかながらも前年を下回っている。それ以前の対前年比も、04年が0.2%増、05年が1.5%減、06年が0.9%増といずれも小幅にとどまっている。つまりこの4年は完全な伸び悩み状態に陥っているということになる。07年の実績は、過去最高の04年の量を0.9%まだ下回っている。
 
 最大の要因は、フィルム分野の需要が予想していたほど伸びていないことにあると見られる。07年のフィルム用の出荷量も0.7%増の564,540トンにとどまっている。射出成形用は4.7%増えて37,660トンとなっているが、絶対量が小さいので加工紙用の7.1%減や電線被覆用の4.5%減をカバー仕切れないでいる。

 このように国内向けが不振であったにもかかわらず07年の総出荷数量が小幅ながら一応前年を上回ったのは、輸出が前年を5.9%上回って140,525トンとなっため。3年連続の前年超えで、史上最大規模となった06年の記録を更新した。国内向けと異なり、04年の実績に比べると34.3%もの増加となる。
 これには、主としてC6をコモノマーに使ったいわゆるハイヤーアルファーオレフィン(HAO)L-Lがアジア各国の間で人気を呼んでいることが大きく寄与している模様。

 L-LDPE関係者の多くは、今後もアジア地域ではわが国が得意とするHAO-LLが引き続き順調な伸びを遂げていくと予想している。これは、同樹脂が特にシール強度に優れていてアジア地域でこれから需要が急速に拡大していくと予想される水物包装分野において高い人気を得ていく可能性が高いためという。
 
 いまやポリオレフィン関係者の間では、国内の包装分野の需要は飽和状態に近いとの見方が一般的となっている。対するアジア市場では、中国をはじめとした多くの国が機能性包装材を志向する傾向にある。このため、L-LDPEの中でもシーラント分野を主たるターゲットとするHAO-LLの今後の事業展開は、アジアマーケットをしっかりキャッチするかどうかで決まることになりそう。