2008年02月13日
ポリオレフィンのアジア価格が続伸
中国向けのHP-LDPEは1,720〜1,740ドルに
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 需給バランスのタイト化を背景にアジア地域におけるポリオレフィンの価格の上昇に一段と加速がついてきた。特にエチレン系樹脂の上げ幅の大きさが目を引く。3月から6月までの期間にアジア地域で多くのエチレンプラントが定修を実施する予定にあって市場に先高感が広がっていることも大きな要因と見られている。
 
 大手商社の調べによると、旧正月休み明けに引き渡す各樹脂のCFR価格は中国をはじめとしたアジア諸国の全ての地域で1月末を大きく上回るレベルに引き上げられることが確定している。最も高いのは完全な品不足状態が続いているHP-LDPE(高圧法低密度ポリエチレン)のフィルム用品種で、中国向けはトン1,720〜1,740ドル、東南アジア向けは1,740〜17,60ドルとなっている。1月末に比べると40〜50ドル高となる。

 これに続くのはHDPE(高密度ポリエチレン)のフィルム用で、中国向けは1月末比70〜80ドル高の1,650〜1,660ドルとなっている。ただし、同樹脂の射出成形用と中空成形用は1,530〜1,550ドルどまりとなっている。北米から余剰玉が流入しているためと見られている。

 東南アジア向けはどの品種も中国向けを20ドル前後上回っている。L-LDPEのフィルム用は、中国向けも東南アジア向けも1,620〜1,650ドルで、1月末の価格を100ドル前後上回っている。上げ幅の大きさが目を引くが、これには三菱化学・鹿島事業所の第2エチレンプラントの火災事故発生でアジア地域全体に同樹脂の先行き供給不安感が広まったことが大きく影響している模様。

 これらエチレン系樹脂に比べるとPP(ポリプロピレン)の上げ幅は小さい。PP-H(ホモポリマー)のフィルム用は1,480〜1,500ドル、PP-B(ブロックコポリマー)の射出成形用は1,500〜1,520ドルで、ともに1月末比は20〜30ドル高にとどまっている。中国向けも東南アジア向けもほとんど差がない。北米品を中心とした市中在庫がまだかなり残っているためではないかと想定されている。今後の引き合いと価格は、旧正月休み明けに多くの需要家がどのていど在庫を積み上げたかで大きく左右されそうだ。