2008年02月19日
フタムラ化学が日本ポリエースの事業を買収
商権と設備を譲り受けてコアのCPPを一層強化
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:フタムラ化学

 PP(ポリプロピレン)フィルムを中心とした包装用フィルムのトップメーカーであるフタムラ化学は、三菱化学グループ企業の一つである日本ポリエースから4月1日をもってCPPフィルム(PP無延伸フィルム)事業を全面的に譲り受けることになった。かねてから原料価格の高騰による採算の悪化に苦しんできた日本ポリエースが、事業の継続を断念して同フィルム最大手のフタムラ化学に事業全体の譲渡を持ちかけてきたのを受けて実施に踏み切ることにしたもの。

 フタムラ化学は、日本ポリエースの持つ商権と日本ポリエースが川崎工場内に保有している2系列合計年産9,000トン能力のCPPフィルム設備のうちの同5,000トン設備を譲り受ける。同設備については、8月末までにフタムラ化学名古屋工場に移設する予定。この結果、同社のCPPフィルムの総設備能力は50,000トンに拡大する。商権の引き継ぎに合わせて営業部門とテクニカルサービス部門から合計5人を引取ることにしている。残る同4,000トン設備については、6月末まで現地で稼動を続けるがその後は運休し、そして今年12月末に予定している日本ポリエースの解散に合わせて廃棄することになりそうだ。

 今回、日本ポリエースからフタムラ化学への事業譲渡が決まったCPPフィルムは、優れた機能性が人気を呼んで最近は工業用品や繊維・雑貨の包装向けに順調な成長を遂げている。07年におけるCPPフィルム全体の総出荷数量は160,678トンで、前年に対する伸び率は1.1%にすぎないが、工業用は14.8%、繊維・雑貨用その他は10.3%それぞれ前年を上回っており、今後も同様の高い伸びを続けると予想される。

 フタムラ化学はかねてからCPPフィルム部門をコア事業部門とし、工業包装分野の新市場開拓に精力的に取り組んできた。その結果、技術力と優れた営業力が新たな市場で評価されて現在ではCPPフィルム業界最大の設備能力を有するに至っている。同社では、今後も工業分野で新規の需要を掘り起こすことでCPPフィルム事業全体の拡充を図っていく考え。そうした狙いの実現に今回の買収効果を同社がどのように生かしていくかが注目される。