2001年06月04日 |
チッソの「発光たん白」細胞内のカルシウム測定用に有望 |
複数医薬メーカーが注目、“高感光バイオセンサー”として期待 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:チッソ |
チッソは先に内外研究機関と共同で、発光たん白質「イクオリン」の構造を世界で初めて解析するとともに、遺伝子組み換え技術を使って同物質の製造を開始したが、発売元のアトー社には複数の製薬会社から「細胞内のカルシウム測定用に使いたい」などの引き合いや打診が寄せられてきた。近く本格採用される見通しだという。 チッソの「イクオリン」は米国ボストン大学、ウッズホール研究所、三重大学との共同研究によって生まれた。 発光クラゲの発光部位から単離したたん白質が“原体”で、カルシウムイオンと結合すると光を出す性質をもっている。同社ではこの「イクオリン」を組み換え遺伝子手法を使ってアポイクオリンからイクオリンを再構築し、精製した。 カルシウムイオンと結合すると発光する性質を利用すれば、超微量物質を検出することが可能で、「高感光バイオフォトン(光)センサー」として利用できる。 このため発売元のアトー社(本社、東京都文京区)では、細胞内のカルシウム測定用試薬として用途を開発中。すでに複数製薬会社から引き合いや相談を受けており、本格採用は近いとしている。 同社では「ほかにも遺伝子診断や細胞内生体機能の解析、環境汚染対策などに利用できそうでこれからが楽しみだ」といっている。 なお、同社の販売価格は50マイクログラム当たり3万円。 |