2008年02月22日
ポリオレフィンのフィルム用品種が異例の高成長
1月の出荷、大量の仮需の発生が要因か
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィンの1月の国内向け出荷量は3樹脂揃って前年同月の実績を上回ったが、これにはフィルム用品種の異例とも言える大幅な伸びが大きく寄与していることがこのほど明らかとなった。
 
 LDPEの1月の国内向け出荷量は131,456トンで前年同月を9.2%上回った。この数年見られなかった高い伸びだが、これを上回る伸びを遂げたのが最大消費品種のフィルム用で、1月の対前年同月比は実に10.4%に達している。
 HDPEも国内向け総出荷量が同11.5%増の77,693トンと異例の高成長を遂げたが、この場合も最大消費品種のフィルム用が同11.7%増という驚異的な伸びを記録したことが大きく寄与している。
 PPの国内向け総出荷量は同5.9%増の221,810トンで、これも当初の関係者の予想を大きく上回る規模となった。これには、一般工業用の9.8%増が大きく寄与しているが、CPP(PP無延伸フィルム)が9.6%もの伸びを遂げたことも大きく関わっている。
 
 ポリオレフィンのフィルム用品種の需要はかねてから完全な頭打ちの状態にあり、LDPEのフィルム用は06年が前年比2.0%減、07年が0.8%増、HDPEは06年が4.1%減、07年が2.4%減、PPは06年が0.7%減、07年が0.04%減となっている。
 したがってこの1月の高成長は、文字通り異例の現象ということになる。この背景についてポリオレフィン関係者の多くは、各樹脂の値上を控えて前倒し発注に踏み切るフィルムメーカーが多かったことに加え、三菱化学のエチレンプラントの運休によって先行き供給不安に襲われたフィルムメーカーの中で在庫の積み増しを図るところが相次ぐ事態となったことが大きく作用していると分析している。
 つまり実需の回復によるものではないとの判断であり、したがって2月の需要はこの反動で縮小が避けられないと警戒する向きが増えている。