2008年03月06日 |
「排出量取引制度」の実質論議がスタート |
産業界からは強い疑問と異論も |
【カテゴリー】:行政/団体(環境/安全) 【関連企業・団体】:環境省 |
環境省は6日、有識者と産業界の代表15人による「国内排出量取引制度検討会」の第2回会合を開き、地球温暖化ガスの排出削減を図るための手法の一つとしてEUで採用されている排出量取引制度(キャップ&トレード制度)の国内での採用について意見を聞いた。 はじめに、同省が整理した同制度の主要な論点について意見を求め、次いで同制度の行方を大きく左右する重要なポイントの一つである排出枠の割り当て方法について論議を要請した。同制度の国内での採用について関係業界や有識者が一堂に会して具体的なディスカッションを行ったのは今回の同検討会が初めて。同省ではこれを皮切りに、できるだけ頻繁に会合を重ねて今春中に最終意見の取りまとめるよう希望している。この日の会合には鴨下環境相も出席して各委員の発言に熱心に耳を傾けた。 同制度の基本的論点についてのディスカッションでは、産業界を代表する委員の多くから、「同制度の効果や必要性がよく理解できない」と強い疑問を呈する発言や、「厳しい国際生存競争にさらされている製造業が国際市場で不公平な立場に立たされることのないようなきちんとした条件整備が何よりも重要」といった意見、さらには「取引制度のもたらすメリットと弊害についてあらかじめ明確に整理してかかることが大切」等の現実的な提言などが相次いだ。 また、排出枠の割当方法についても、「オークション割当方式(有償方式)と無償割当方式(グランドファザリング及びベンチマーク方式)のどちらを採用してよいかが国際的にも明確に把握されていないので慎重に論議していくべき」とか、「取引価格が不当に高く吊り上げられて中小規模の企業が排出枠を確保できなくなると恐れがあるのではないか」等々、様々な意見が出て、結論をまとめるには至らなかった。 今後の検討会でも、各委員の立場がそれぞれ異なるだけに引き続き様々な意見が交錯する状態が続きそうだ。 |