2008年03月07日
東レ、世界最高レベルの有機EL用「青色発光材料」開発に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは7日、フルカラー有機ELディスプレイ用に、世界最高レベルの高効率・高色純度を有する青色発光材料の開発に成功したと発表した。独自の分子設計技術とナノ分散技術の融合により発光効率 、色純度ともに優れた発光特性を実現した。

 現在、採用に向けた評価を実施中で、早期実用化に向けて開発を加速する。

 同社は既に、低駆動電圧・高効率発光である赤色発光材料および電子輸送材料を開発、量産しており、複数のパネルメーカーで採用が進んでいる。特に、高い電子輸送能力を有する東レ電子輸送材料は、有機ELディスプレイの低消費電力化に大きく貢献できる材料として、評価されているが、フルカラー三原色のうち、唯一青色との組み合わせにおいて、用いる青色発光材料によっては発光特性が低下する課題があった。

 そこで同社は、東レ電子輸送材料との組み合わせで、低駆動電圧と高い発光特性を両立する独自の青色発光材料(ホスト、ドーパント材料)の開発に取り組み、その結果、独自の分子設計とナノ分散技術の融合により、電極から注入される電気エネルギーを最大限に利用することが可能となり、発光効率6cd/A (カンデラ/アンペア) 、色純度(CIE(x,y)=(0.14,0.10))と、世界最高レベルの発光特性を実現する青色発光材料の開発に成功した。
 
 従来の青色発光素子では、低駆動電圧と長寿命の両立が困難だったが、今回開発した青色発光材料は、低駆動電圧を維持したまま寿命が大きく向上することを確認した。これにより、東レ電子輸送材料を三原色全ての発光層に使用する共通電子輸送層化が可能となり、ディスプレイの低消費電力化やプロセスコストの低減への貢献が期待できる。

 また、現在開発を進める緑色発光材料についても、赤色および青色発光材料で培った知見を活かし、高色純度(CIE(x,y)=(0.22,0.72))を有するドーパント材料の基本骨格を確立している。今後さらに材料・プロセスの研究開発を推進し、有機ELディスプレイにおけるキー部材・キー技術のトータルソリューションの提供を目指す。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1204870041.pdf