2008年03月19日
旭化成、タイでのプロパン法AN、MMAプラント建設決る
【カテゴリー】:経営(海外)
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズは19日、タイで計画していた、世界初のプロパン法アクリロニトリル(AN)およびメチルメタクリレート(MMA)プラントの建設プロジェクトが正式決定したと発表した。
 
 同国・PTT社と丸紅との3社合弁によるPTT Asahi Chemical(PTTAC社)で事業化するもので、ラヨーン県マプタプット工業区内にプロパン法によるAN年産20万トンと、MMA同7万トンプラントを建設する。着工は2008年夏、稼動入りは2010年末の予定。
 
 総事業費は約7億5000万ドル(約800億円)で、うち半分はプロジェクトファイナンスで調達する。残りは合弁事業会社の資本金を充てる。旭化成ケミカルズの投資額は約200億円となる。

 プロパン法ANとは、従来のプロピレン法と異なり、プロパンから直接ANを生産する製法のことで、旭化成が独自技術で開発した。プロピレンに比べて原料価格が安いだけでなく、製造中に青酸(ACH)を副生するため、MMA原料のように青酸が有効利用できる場合は、コスト的に強い競争力を発揮できる。
 
 旭化成ケミカルズは、今春まで韓国の子会社・東西石油化学で2系列のうち1系列(年産7万トン)を使い、世界で初めて同プロセスによる実証及び商業運転を行ってきた。「品質上はまったく問題なく、繊維用やABS樹脂用の原料としてユーザーの評価を得ている」(同社・小林友二執行役員)
 
 20万トンの新プラントが完成すると、旭化成ケミカルズのAN生産能力は、水島30万トン、川崎15万トン、東西石化30万トンと合わせて年産95万トンと、世界第2位の地位をさらに確かなものにする。
 
 同社はグループ中計の中で、AN事業をグローバル拡大事業と位置づけ、今後も積極的に拡大していく方針で、すでに2013年稼動を目標に中東地区に次期プラント計画の検討を進めている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1205917857.pdf