2008年03月19日
PVCの2月の出荷、前年同月比12.1%減に
住宅着工の遅れが尾を引く、輸出も縮小
【カテゴリー】:実績/統計(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:塩ビ工業・環境協会

 塩ビ工業・環境協会が19日に集計したところによると、PVC(塩ビ樹脂)の2月の生産・出荷数量はともに前年同月の実績を下回った。
 生産は前年同月比6.9%減の166,053トン、出荷は同12.1%減の156,898トンで、生産は3ヵ月連続の、出荷は4ヵ月連続のそれぞれ前年同月割れとなった。

 生産の減少には、三菱化学・鹿島事業所のエチレン第2号機の運休が少なからず作用していると見られる。
 一方の出荷の前年同月割れは、国内向けが同3.6%と引き続き低調であったのに加えて輸出が25.3%もの減少となったことによる。
 国内向けの不振には「住宅着工の遅延が尾を引いて主力の硬質用の需要の回復が遅れている」(土屋隆・同工業会会長・東ソー社長)ことが大きく影響したようだ。硬質用の出荷は同6.2%減で、12ヶ月連続の前年同月割れとなっている。ただし、同樹脂関係者の間には「長期低迷を続けてきた住宅関連需要の中にも年度変わり以降に徐々に回復に向かう分野が出てくる」(同会長ら)と期待を口にする向きが出始めている。方や、電線被覆用その他の2月の実績は0.9%増えて、9ヶ月連続の前年同月超えとなっている。「塩ビの持つ機能・品質を再評価してくださる需要家が増えてきたことが大きい」(同)と述べる関係者が多い。

 出荷のうちの輸出は同25.3%減で、18ヶ月振りに前年同月を下回った1月に続いての前年同月割れとなった。これは、原料不足が続くことを警戒した同樹脂メーカーの多くが当面、国内優先型の出荷に徹していくため輸出を抑制する政策を取り始めたことによるものと見られる。同樹脂メーカーによると、海外からの引き合いは引き続き活発とのこと。このため、原料価格の上昇分の転嫁を目的に同樹脂各社が海外各国の需要家との間で進めている輸出価格の引き上げ交渉もおおむね順調に進展している模様。ただし、円高がこれ以上進むと契約数量の一層の縮小を余儀なくされるところも出てこよう。