2008年03月21日
三菱・鹿島、樹脂設備の稼働率も回復へ
需要家ニーズに極力対応できる体制を整備
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱ケミカルホールディングス

 三菱化学は19日に鹿島事業所内のエチレン第2号機のナフサ分解炉のうち第1号炉から第5号炉までの稼動を再開したが、同社はこれに合わせて主力誘導品のポリエチレンとポリプロピレンのプラントについても逐次稼動率を引き上げており、21日には両プラントとも稼働率が100%近いレベルまで回復したという。21日に三菱ケミカルホールディングスが開催した記者懇話会の席上、高下悦郎常務が明らかにした。

 同常務によると、両樹脂を生産・販売している日本ポリエチレンと日本ポリプロの両社は、これまでも手持ち在庫の取り崩しや外部からの緊急製品輸入などによって多くの需要家が原料不足に陥らないように手を尽くしてきたという。ポリエチレンについては、韓国・ハンファ、台湾・FPC、サウジアラビア・シャルクなどからL-LDPEを、またポリプロピレンでは米・FPC、シンガポールおよび米・エクソンモービル、韓国・サムソントタル等からベースレジンをそれぞれ緊急輸入して減産に伴う供給不足分の多くをカバーしてきた模様だ。
 
 今後については、鹿島・第2号エチレンプラントの第6分解炉が5月に再稼動しても5月中旬以降に鹿島や水島でエチレンプラントが相次いで定修のため運休するので、8月末まではなおオレフィンの絶対量が不足する見通しにある。

 しかし同常務は「引き続きオレフィンだけでなくポリオレフィンをはじめとした誘導品についても不足分を外部調達でカバーしていくなどで需要家に迷惑をかけないですむように準備している」と述べ、安定供給に継続に背水の構えで望む姿勢を強調した。

 なお同社では昨年末に鹿島に年産30万トン能力のPPプラントを完成しているが、営業運転に必要なプロピレンまでは確保できないので、年内は稼動を見送るとしている。それに伴い、来年春に予定していた川崎の同15万トン設備の操業停止と廃棄は先送りすることになる。