2008年03月24日 |
経産省、化学の省エネ技術開発の加速化を推進 |
有望技術については国家プロ等での支援も |
【カテゴリー】:行政/団体(環境/安全) 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経済産業省製造産業局は、化学企業が“ポスト京都”を見据えて中長期的観点から取り組む有望な省エネルギー・二酸化炭素削減技術の開発を国家プロジェクトなどの支援制度も活用しながら強力に促進していく方針を固め、関係企業への説明を開始した。 同局が促進・支援の対象に取り上げていくことにしている開発テーマは二つの種類に大別される。一つは「化学製品の製造プロセスの革新的省エネ技術の開発」であり、そしてもうひとつは「ユーザー産業または最終製品における省エネに資する革新的部材の開発」である。 前者については、現在の熱分解法を大きく上回る省エネ・二酸化炭素削減効果を発揮すると想定されている接触法ナフサ分解によるオレフィンや芳香族の製造技術、あるいは選択的透過膜を用いた非平衡分離・省エネ化と反応分離の同時処理技術等が具体的な例として挙げられると説明している。一方の後者では、高強度・軽量の新規コンポジット樹脂や、低温度廃熱エネルギー変換用の熱電変換材料の開発などを対象に取り上げていきたい考え。いずれも、2020年での実用化が可能な点を一つの目安に促進・支援していくことにしている。ただし、より長期的視野のアイデアについても採択を考慮していくことになりそう。 開発の促進・支援に当たっては、国家プロジェクトなりその他の各種研究開発助成制度など有効な開発支援政策をフルに活用していくことで効率よく成果が上がるようもっていきたい考え。 このため、広く化学関連企業から有望な技術開発情報と意見を吸収、加えて有力な省エネ技術の開発支援を求める企業に対しては有効な支援措置を遅滞なく講じていきたいとしている。支援の要請案件については、今年4月上旬までに同局化学課までメールで提出するよう求めている。案件の中で早期に国として開発を促進すべきと判断できるテーマについては、09年度の国の技術開発予算に組み込んでいく計画。 地球温暖化の防止については、今年1月に開かれた〓ダボス会議〓で福田総理が「世界全体で2020年までに30%のエネルギー効率の改善を世界共有の目標とする」と提案するとともに「科学的かつ透明性の高い尺度としてエネルギー効率などをセクター別に割り出し、今後活用される技術を基礎として温室効果ガスの削減可能量を積み上げるのが望ましい姿」と強調。これを受けて日本国内でも公平性・科学的根拠に富んだセクター別の省エネ・CO2排出削減推進策の展開を国に求める声が産業界全体に広がっている。 こうした中で経産省製造産業局化学課では、同課で推進すべき中長期的な重要政策課題の一つが「化学分野の中長期的な省エネ有望技術の開発促進」にあると判断、化学各社に省エネ・二酸化炭素削減の波及効果が大きい技術についての情報・意見の提出を要請するとともに、技術開発の提案ならびに支援の希望を募集することにしたもの。 この狙いがどういった成果をもたらすことになるかは、アップストリームのプロセス改良や新技術の開発にとどまらず、自動車、家電、住宅など市民の暮らしに密接な係わりを持つ最終製品の軽量化や省エネ・省電力化等に必要な化学素材の開発と工業化にいかに結び着けていくかによって大きく左右されると言えそう。化学製品の場合は、液晶TVや自動車部品さらには塩ビサッシに象徴されるように新たな最終製品となった段階で従来の製品にない大きな省エネ・CO2ガス排出削減効果を発揮する例が多いからだ。その意味では、大手化学素材企業のみならず機能ポリマーメーカーや部材メーカーを含めた広い範囲にコンタクトの対象を広げることも必要となろう。 |