2008年03月25日
三井化学、PHと関連製品の輸出価格を一斉に改訂へ
需給のタイト化を背景に採算の改善図る
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はフェノール(PH)と関連製品のアセトン(AC)ならびにビスフェノール-A(BPA)の輸出価格を4月の引き渡し分からいっせいに底上げすることにして中国をはじめとするアジア各国の需要家各社と交渉を開始した。
 
 最大消費国である中国向けを例にとると、PHについてはトン当たり100ドル上げてCFR1,650ドルとする。またACの場合も100ドル上げて同1,100ドルに改める。BPAについては50〜75ドル引き上げて同2,000ドルとする。
 
 同社は今年2月以降、原料ベンゼンとプロピレンの高騰に対応してこれら3製品の輸出価格を是正する機会を探ってきていたが、ここにきて中国の需要家の在庫消化のピッチが上がり、また、4月から6月末までの間のアジア地域全体の需給バランスが極東全域におけるPHとBPAのプラントの定修による運休によって一段とタイトとなる見通しとなってきたため4月入りとともに全品目の値上げに踏み切ることにしたもの。
 
 同社の調べによると、PHの今年の世界全体の総需要量は前年比3.6%増の900万トン(年31万トン増)で、うちアジア地域の需要量は同11.1%増の262万トン(同26万トン増)となる見通し。一方の供給力は世界全体が同4.6%増の947万トン(同42万トン増)となる見込みで、これに伴う平均稼動率は前年より1ポイント下がるもののなお95%の高いレベルを維持すると同社では判断している。
 しかも、4月から6月末までの期間は、三井化学、三菱化学、韓国・錦湖、同・LG石化、台湾・FCFC、同・長春石化、シンガポール・MCS、独・イネオス等による定修・運休が集中するのでタイト化に一気に拍車がかかる見通しにある。この期間は原料の高止まりも必至と見られているので、こうした需給逼迫の機を逸することなく市況の是正を一気に実現したいとしている。