2001年05月30日 |
トクヤマ、世界で初めて「漆喰」のシート化に成功~内装仕上材として上市 |
高耐久、防カビなどの優れた特長を再現、安全性とライフサイクルコストを低減 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:トクヤマ |
トクヤマは30日、日本古来から使われてきた左官塗り材料である「漆喰(しっくい)」を世界で初めてシート化することに成功、安全性、快適性、耐久性、施工性を追求した内装仕上材として7月より全国発売することを決定した、と発表した。 漆喰は、平安時代以前から1,000年にもわたって使われてきた建築材料で、耐久性、吸湿性、防カビ性などに優れ、湿気の多い日本の気候風土の中では仕上材料として非常に適した自然素材といえる。しかし、洋式住居の普及や建築方式が変化する中で、漆喰は工期が長い、特別な施工技術が必要などの理由からしだいに使われなくなってきた。 漆喰の主成分は炭酸カルシウムで、古来、石灰石を焼いてできる消石灰が原料となっている。しかし、炭酸カルシウムは硬い材料であるため、壁紙などと同じようなシート状にして現代の施工法に適した形態にすることは不可能と思われていた。 今回発売する『新風』は、ベース紙に、漆喰のもとになる消石灰を主成分とした柔らかい特殊な層を形成し、その層を保護シートで覆うという三層構造になっており、施工は通常の壁紙と同じように簡単に可能。そして施工後にこの保護シートを剥がすだけで消石灰が空気中の炭酸ガスと反応して短時間で炭酸カルシウムに変化し、硬い漆喰の壁が出現することになる。 このように、同社は世界初の特殊加工技術を開発することにより、不可能とされていた漆喰のシート化に成功、漆喰の持つ「高耐久」「防カビ」などの優れた特長を再び現代によみがえらせることに成功したもの。 『新風』は年数が経っても剥離に強いことから、数年毎の張り替えの無駄を省く。また、模様替えなどで新しい『新風』を貼る場合、既存の『新風』を剥がすことなく、そのまま新しい『新風』を表面に重ね貼りができ、スピーディーで簡便なリフォームが可能となる。さらに、『新風』は塗料を塗ることなどができるなど、新築のみならずリフォームにも適している。 シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)など、住宅建材から放出される化学物質の安全性が厳しく問われている中で、しっくいシート『新風』は自然素材である漆喰の持つ安全性とライフサイクルコストの低減を居住者に提供する新時代の内装仕上材。 同社では、数年後に約30億円の売上を見込んでいる。 <参考> 『新風』製品外観 http://c-nt.co.jp/news/sinpuu1.jpg> 『新風』施工例 http://c-nt.co.jp/news/sinpuu2.jpg> |