2001年05月30日
新日鐵化学、クラレのLCPフィルムを使用した新タイプの無接着剤FPC用銅張積層板を開発
高周波領域での優れた電気特性を実現、ブルートゥースなど近距離通信回路などで展開
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:クラレ、新日鐵化学

 新日鐵化学は30日、クラレのLCP(液晶ポリマー)フィルム「商品名:ベクスター」を使用した、新しいタイプの無接着剤FPC用銅張積層板「エスパネックス Lシリーズ」を両社で共同開発した、と発表した。
 同社では電子材料事業分野における主力商品として、携帯電話、液晶ディスプレイその他の回路基板材料向けに、無接着剤FPC用銅張積層板(Copper-Clad Laminate:CCL)「商品名:エスパネックス」を生産・販売しているが、クラレのLCPフィルムを絶縁層に用いることで、優れた高周波領域での電気特性を実現するとともに、従来タイプと比較し、低吸水率・高寸法安定性、高熱伝導率など優れた特性を可能とした。
 「エスパネックス Lシリーズ」の特徴として、電気特性は、とくに高周波領域での電気特性(低誘電率、低誘電損失)が優れており、フッ素系樹脂に近い特性を有する。高周波帯での電気特性は、5GHzで誘電率2.86(フッ素系樹脂:2.6)、誘電正接0.0022(フッ素系樹脂:0.002)。低吸水率では、吸水率が従来のポリイミド系CCLに比べて1/7以下と極めて低いため、吸湿による寸法変化が非常に少ない(従来ポリイミド系:28ppm/%RH、LCP:4ppm/%RH)。高熱伝導率では、従来のポリイミド系CCLと比較して、約2.5倍の熱伝導率を有し、放熱特性に優れる。高耐熱性では、鉛フリーハンダリフローに要求される270℃以上の耐熱性を有する。また、吸湿による耐熱性の変化はない。また、耐薬品性を有し、寸法安定性では、銅箔との積層に接着剤を使用しないため、優れた寸法安定性を有する。難燃性でも、ハロゲンフリーで優れた難燃特性を達成(UL規格94VTM-0相当)するなど環境に優しい素材。
 主な用途としては、高周波回路用基板、高周波ケーブル、通信機器回路、パッケージ用基板、その他となる。
 市場展開としては、現在、将来性が有望視されているブルートゥース(次世代短距離無線通信規格)、非接触型ICカードなど、近距離通信回路や高周波回路基板および、パッケージ用基材向けなどに積極的にサンプルワークを行い、需要の開拓を進めていく。
 今年度下期から出荷を開始、来年度中に、1万_/月の販売を目指す。
 同社では、電子材料事業の順調な拡大にあわせ、2002年末までに、無接着剤FPC用銅張積層板「エスパネックス」の生産能力を、現在の約2.5倍となる300万_/年へ増強することを決定しており、現在すでに、先端材事業部木更津製造所において、建設工事が進められている。
一方、同事業分野へ向けた研究開発投資も積極的に行う計画としており、今回の新商品の開発もその一環となる。