2008年03月28日
東レ、世界最高レベルの移動度を示す塗布型有機半導体材料を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:東レ

 東レは28日、独自に開発した有機半導体と単層カーボンナノチューブ(単層 CNT)をハイブリッド化し、アモルファスシリコン並みの高い移動度を示す塗布型有機半導体材料の開発に成功したと発表した。ナノテクノロジーと有機合成化学との融合により実現した。

 同材料で作製した有機薄膜トランジスタ(有機TFT)素子性能は、移動度1cm2/Vs、オンオフ比105 と、塗布型有機TFTでは世界最高レベルを示した。2年後の有機TFT実用化をめどに、今後さらに基本技術確立を急ぐ。

 情報の多様化やユビキタス化進展に伴い、ディスプレイの大型化や軽量・薄型化の流れ
はますます強まりつつあるが、現在主流となっているシリコンTFTは、製造プロセスが複雑で、高真空、高温装置が必要などコスト面に課題があり、大気中で製膜が可能な塗布型有機TFTの実現が期待されていた。

 しかし有機TFTの場合、比較的高い移動度を示すペンタセンなどの低分子半導体は真空プロセスによる製膜を必要とする。また、ポリチオフェンなどの高分子半導体は塗布プロセスで製膜できるものの移動度が低いという課題がある。
 
 東レは今回、塗布プロセスで製膜可能な有機半導体の中に、単層CNTを微量に均一分散さ
せ、有機半導体の結晶間での電荷の流れをスムーズにするという独自のコンセプトで、従来TFTで用いられるアモルファスシリコンと同等の高い性能を有する塗布型有機半導体材料の創出に成功した。酸化に対しても安定した分子構造となっているため、大気中での長期間保存にも高い性能を維持する特徴がある。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1206683739.pdf