2008年04月08日 |
経産省化学課、ナフサ接触分解技術開発を推進へ |
化学企業の共同研究による石化の省エネを促進 |
【カテゴリー】:行政/団体(新製品/新技術、環境/安全) 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経済産業省製造産業局化学課は、石油化学工業の省エネルギー促進策の一つとして21年度から5ヵ年計画でナフサ分解の新プロセス「接触分解法」の開発を推進していく方針を固めた。実現に当たっては、石油化学コンビナート企業に新たな技術研究開発組合の設置を促し、(財)化学技術戦略推進機構(JCII)を推進母体とした高効率の研究開発活動をスタートさせたい考えだ。 このため国に対して21年度の「石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計」の枠内で同プロジェクト向けの予算を計上するよう要求していくことにしている。狙い通りのプロセスが確立されると、石油化学工業全体で排出されるCO2の3分の1を占めると推定されているナフサ分解工程における省エネが大きく促進されることになるだけに成り行きが注目される。 同課が開発を推進していくことにしたのは、触媒の持つ接触分解反応作用を利用してナフサからエチレンやプロピレンなど各種の留分をより効率よく生成するための新しいナフサ分解手法。これまでの公的研究機関等の実験室レベルの研究では、現在の熱分解法で必要とされる850℃を大きく下回る650℃以下の温度でナフサを分解でき、それに伴い20%以上の省エネルギー効果が上げられることを示すデータが得られているという。 同課では、ファーストステップとしてベンチスケールの装置でこれらの基礎データの確度を精査し、確証が得られればプロセス全体を実際の工業化が可能なレベルまで引き上げる研究開発を進めていくようにしたい考えだ。ベンチスケールの装置では、各種生成物の選択性、エチレン、プロピレン、BTXなどの生成物がどんな構成比率で得られるかの確認や、触媒の長期安定性と使用できるナフサの種類など多彩な研究項目を一つずつ入念にチェックしていくことになる。 同課の計画に対して、いくつかの化学企業が参画を表明、またJCIIも同プロジェクトに対する協力を当面の重要政策課題に一つに掲げていく方針を固めている。 現在、わが国の化学工業全体のCO2の排出量は年7,288万トンで、産業部門全体の排出量の20%を占めていると推定されている。そのうち50%を占めるのが石油化学部門からの排出量で、30%はナフサ分解工程から排出されると見られている。この削減は、既存のプロセスの少々の改良・改善では不可能とされてきただけに、今回の企画の持つ意味は極めて大きいということができる。 |