2008年04月10日
積水化成品の「ピオセラン」の市場が急拡大
オランダと中国にも新たな生産拠点を設置へ
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:積水化成品工業

 発泡プラスチックの総合最大手企業である積水化成品工業の複合高機能発泡樹脂(商品名;ピオセラン)の需要が急拡大してきた。
 07年度(06年4月〜08年3月)の総販売数量は4,700トンで、前年度の実績をおよそ40%上回った。3年間で約4倍の規模に達したことになる。同社では今後も日・米・欧・亜の各地で市場が大きく広がっていくと判断、このため1年以内にオランダと中国に新たな生産拠点を開設するなどで事業の国際展開に拍車をかけていくことにしている。2010年には年間販売量を現在の3.4倍の16,000トンに持っていく計画。
 
 「ピオセラン」は、ポリスチレンとポリオレフィンとを複合化したうえ倍率10倍から50倍までの広い範囲内に発泡させた高機能複合材料。発泡スチロールの持つ優れた剛性と高発泡性、すなわち重量物の荷重に対する高度の耐久性と軽量・省資源性といった強みに加え、ポリオレフィンが有する耐衝撃性や耐薬品性ならびに耐磨耗性を合わせてはきする点が大きな特徴とされる。
 現在の用途は、ハイテク家電や液晶部材の緩衝包装・搬送材料と、自動車の内外装部材の二つの分野に大別できる。前者では、液晶テレビやノ−トパソコンの緩衝包装材、液晶モジュールや5.5世代対応大型ガラスの搬送用BOXなどが、また後者ではバンパー芯材、ドアパッド、下肢部衝撃吸収材などが活発な採用例として挙げられると同社では説明している。
 
 積水化成品の現在の生産拠点は、国内の滋賀、茨城の両拠点と台湾、中国(天津)、米国(テネシー)の計4ヶ所。生産能力は最大年間6,700トンとなっている。ただし、需要家のニズにきめ細かく対応していくことにしているため自ずと工業化品種が多彩となり、したがって現在の稼動率は事実上100%に近い状態にあるという。
 
 このため、オランダで年産1,000トン能力の新工場の建設を進めており、今年9月に完工の予定。次いで中国の蘇集にも同じく年産1,000トン能力の新工場を建設する計画で、現在中国政府の認可待ちのところ。来年3〜4月には立ち上げたい考え。さらに工業の発展が目覚しい東欧への進出も検討中という。世界全体のハイテク家電やIT製品さらには自動車産業の発展・拡大に歩調を合わせた事業のグローバルな拡充をどういったテンポで進めていくかが注目される。