2008年04月17日
旭硝子、北米板ガラス事業を再編、成長分野へ集中
【カテゴリー】:経営(海外)
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子は17日、北米板ガラス事業について、工場閉鎖を含む大幅な構造改革を実施することを決めたと発表した。事業環境の急速な変化に対応して、今後高度成長が期待される太陽電池用ガラスや自動車用ガラス素板、建築用高付加価値製品分野に経営資源を集中する。
 
 フロートガラスで3工場、建築向けコーティングラインで2工場の生産を停止し、建築用加工ガラス事業は売却する。今年4月中に着手し年内に完了の予定。

 同社は、これまでも子会社のAGCフラットガラス・ノースアメリカ社(AFNA)でシナミンソン工場の閉鎖などを実施してきたが、北米の板ガラス市場は近年の住宅市場の減速により、供給過多の状況が続いている。
 
 一方、地球環境やエネルギー問題を背景に、今後、北米でも太陽電池用ガラスの需要の拡大が見込まれ、自動車用ガラス素板や建築用の付加価値製品の需要も安定的に推移する見通し。

 このため同社は、この3分野にフォーカスするととともに、ガラスの需給バランスや生産設備の稼働状況の改善を図るため、AFNAのビクタービル工場、セント・オーガスチン工場、及びグリーンランド第1工場でのフロートガラスの生産を停止する。3工場停止により、北米における同社のガラス生産能力は現有の年産143万トンから83万4,500トンへと約40%減少する。

 また、市場規模に比べて生産能力が過剰な建築向けコーティングラインについては、AFNAのビクタービル工場、及びハンプトン工場での生産を停止し、商業ビル用・住宅用の生産拠点をアビンドン工場に集約する。さらに、建築用加工ガラス事業を売却することにより、高付加価値なガラスの生産とコーティング事業に特化する。

 これらの構造改革により、2008年度第2四半期に約135億円の特別損失が発生する見込みだが、12月期の業績予想に織り込み済みのため、業績予想の修正はない。

<参考>
1.AGCフラットガラス・ノースアメリカ社の概要
(1) 所在地 アメリカ ジョージア州
(2) 代表者 ブラッド・キッターマン
(3) 生産品目 建築用板ガラス、自動車用ガラス素板、太陽電池用ガラス
(4) 資本金 959百万USドル
(5) 出資比率 AGCアメリカ:100%(AGCアメリカは旭硝子の100%子会社)
(6) 生産拠点 北米にフロートガラス7拠点(今回フロートガラスの生産を停止する3工場を
含む)、型板ガラス2拠点
(7) 従業員数 約4000名

2.ビクタービル工場(フロート)の概要
(1) 所在地 アメリカ カリフォルニア州
(2) 生産品目 建築用板ガラス
(3) 従業員数 225名

3.セント・オーガスチン工場の概要
(1) 所在地 カナダ ケベック州
(2) 生産品目 建築用板ガラス
(3) 従業員数 240名

4.グリーンランド第1工場の概要
(1) 所在地 アメリカ テネシー州
(2) 生産品目 建築用板ガラス
(3) 従業員数 250名

5.ビクタービル工場(コーティング)の概要
(1) 所在地 アメリカ カリフォルニア州
(2) 生産品目 Low-Eガラス
(3) 従業員数 40名

6.ハンプトン工場の概要
(4) 所在地 アメリカ アイオワ州
(5) 生産品目 Low-Eガラス
(6) 従業員数 56名


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1208398233.pdf

(英文)
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1208405791.pdf